村上春樹さんのの最新短編集「一人称単数」を読みました
といっても、8編中7編は初出で読んでしまっているので、このたび読んだのはラストの書下ろし「一人称単数」のみです
普段全くスーツを着ない「僕」が、ある気持ちの良い春の宵に、なんとなくスーツに袖をとおしてみると、読みかけの本を持って知らないバーに行ってみたくなりました
鏡越しに目があった自分がなんだか自分ではないみたいな気がしていたら、実際誰かと間違えたと思われる失礼な女性にしつこく絡まれます
「あなたは私を誰かと勘違いしているのではないですか?」と聞けばよいのかもしれませんが、相手のある種の確信に満ちた態度と自分自身であることに自信が持てていなかった「僕」との関係性から、ひどい侮辱を投げかけられながら逃げるようにその場を去るというところがいいですね
「村上春樹とはこういう人間だ」と決めつけた上で人間性についていろいろ論評する人は多いでしょうから、そういう現象に対する皮肉でもあるのかもしれません
軽めの作品ですが、短編集の締めにはよくはまっていると感じました
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