ネットと誹謗中傷について | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

匿名で他人を誹謗中傷するのは卑怯

しかし、実名でめちゃくちゃ書いてる人もいる以上、匿名か否かは必ずしも核心部分ではありません

ネットでもリアルでも、そもそも人を誹謗中傷してはダメなのです

もっとも、ネットでは(1)言葉の出し手と受け手の関係が多くの場合希薄であること(2)短くてよく練られていないままの言葉が飛び交いがちであることなどから、投稿された時点では、誹謗中傷なのか、きつめであるけども正当な批判なのかについて、速やかに判断することが困難である場合も少なくないでしょう

そこで、匿名であろうとなかろうと、ネットに投稿された時点ですぐさま削除などの規制にかけることには問題が多いといえます

基本的には、前後の文脈などにかんがみて、民事的に損害賠償の対象になるのか、刑事罰の対象にまでなるのかについて、当事者に主張立証を十分させた上で、最終的な判断を裁判所にさせれば最も落ち着きの良い結論を導くことができるのではないでしょうか

これまでの一番の問題点は、匿名の者に関する発信者情報の開示が面倒すぎることにあります

当事者同士で解決可能な関係に持ち込むこと自体が難しいのでは、どうしてもやり得になることが多くなってしまいます

発信者情報を安く簡単に開示させる法制度さえ整えれば、後は当事者同士で解決できることになりますし、身バレするとわかっていれば、嫌がらせの書き込み自体が自然と減っていくでしょう

懸念されるのは、いわゆるスラップ訴訟の多発による表現の自由の萎縮ですが、日本の法制度の下では、表現について損害賠償が認められることは多くはありませんし、そもそも裁判で認められる慰謝料は著しく低額です

それが良いのか悪いのかは別として、そのような現状にかんがみれば、一方に偏りすぎたバランスを整えるべき時期にきているといえましょう

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