検察権は行政権に属していますが、準司法作用を担うことから、検察官には強い身分保障が認められています
検察庁法の25条本文には「検察官は、前三条の場合を除いては、その意思に反して、その官を失い、職務を停止され、又は俸給を減額されることはない。」と規定されています
「前三条」とは、定年(22条)・分限(23条)・人余り(24条)です
とはいえ、25条ただし書には「但し、懲戒処分による場合は、この限りでない。」と規定されていますので、懲戒免職になることは当然ありえます
2010年10月11日付日本経済新聞の「前田元主任検事を懲戒免職 検事では戦後6人目」という記事によれば、参考人に暴力をふるった検事(1993年)、痴漢で現行犯逮捕された検事(2000年)、詐欺などで起訴された検事(2002年)、文書偽造をした検事(2007年)、証拠を捏造して無罪の者を有罪に仕立て上げようとした検事(2010年)などの例があるそうです
前田元主任検事の元上司2名も犯人隠避でそれぞれ免職になっていますので、少なくとも戦後において8人は懲戒免職になっているということでしょうか
それはさておき、人事院が発表している「懲戒処分の指針について」によれば、賭博については(1)賭博をした職員は、減給又は戒告とする、(2)常習として賭博をした職員は、停職とするとされています
この指針によれば、常習賭博であっても停職止まりということになりますね
ただ、痴漢行為については「公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする」とされており、2015年に報道された件でも停職止まりになっていますが、上記の記事によれば2000年には痴漢で免職になった検事がいるようです
当時の指針が現在とは異なっていたのか(性犯罪に対して今より厳しかったとは考えにくいですが)、それとも別の理由があるのか
いずれにしても、人事院の方針を捻じ曲げてまで強引に免職にすることは、それはそれで問題だと思われます