検察官の懲戒免職について | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

検察権は行政権に属していますが、準司法作用を担うことから、検察官には強い身分保障が認められています

 

検察庁法の25条本文には「検察官は、前三条の場合を除いては、その意思に反して、その官を失い、職務を停止され、又は俸給を減額されることはない。」と規定されています

 

「前三条」とは、定年(22条)・分限(23条)・人余り(24条)です

 

とはいえ、25条ただし書には「但し、懲戒処分による場合は、この限りでない。」と規定されていますので、懲戒免職になることは当然ありえます

 

2010年10月11日付日本経済新聞の「前田元主任検事を懲戒免職 検事では戦後6人目」という記事によれば、参考人に暴力をふるった検事(1993年)、痴漢で現行犯逮捕された検事(2000年)、詐欺などで起訴された検事(2002年)、文書偽造をした検事(2007年)、証拠を捏造して無罪の者を有罪に仕立て上げようとした検事(2010年)などの例があるそうです

 

前田元主任検事の元上司2名も犯人隠避でそれぞれ免職になっていますので、少なくとも戦後において8人は懲戒免職になっているということでしょうか

 

それはさておき、人事院が発表している「懲戒処分の指針について」によれば、賭博については(1)賭博をした職員は、減給又は戒告とする、(2)常習として賭博をした職員は、停職とするとされています

 

この指針によれば、常習賭博であっても停職止まりということになりますね

 

ただ、痴漢行為については「公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする」とされており、2015年に報道された件でも停職止まりになっていますが、上記の記事によれば2000年には痴漢で免職になった検事がいるようです

 

当時の指針が現在とは異なっていたのか(性犯罪に対して今より厳しかったとは考えにくいですが)、それとも別の理由があるのか

 

いずれにしても、人事院の方針を捻じ曲げてまで強引に免職にすることは、それはそれで問題だと思われます


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