平石貴樹さんの松谷警部シリーズの第1作である「松谷警部と目黒の雨(Unnecessary Roughness)」を読みました
平石さんのお名前は、今さらながら「このミス2020」に別の作品がランクインしていたことから初めて知りました
東大で英米文学の教授をされていた方なんですね
小説を発表しながら教授に就任したとはすごい(「文学部唯野教授」的な意味で)
さて、本作では、武蔵野学院大学アメフト部OBが連続して怪死するという事件が起きます
というよりも、OBたちと懇意にしていたメンバーの妹が自宅で刺殺されたのをきっかけに、その前に起こっていた(1)男女関係のもつれから女性がOBの1人を刺殺して飛び降り自殺をした件、(2)事業の失敗からOBの1人が拳銃自殺をした件に改めてスポットが当てられたという設定です
章立てがアメフト流にクオーターとダウンで整えられているところや、各クオーターの末尾に松谷警部の趣味であるという俳句が添えられているところがスタイリッシュ
作者の経歴から衒学的な雰囲気の小説になっているのかと思いきや、内容的には極めてあっさりしたテイストで、松谷警部と白石巡査のキャラクターについても個性を前面に打ち出してくることはしていません
聞き間違い(というか勘違い)が犯行動機になるところは個人的にけっこう好みでしたので、このシリーズは次の作品も読んでみたいと思います
松谷警部と目黒の雨 (創元推理文庫)
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