本格ミステリ作家クラブによってセレクトされた短編からなるアンソロジー「ベスト本格ミステリ2018」を読みました
東川篤哉さんの「カープレッドより真っ赤な嘘」が圧巻
プロ野球選手のサイン入りユニフォームを着ている人がそれを脅し取られる事件が多発しているのに乗じて、自分をゆすっている相手を殺害しようという男の事件です
相手はいつもカープの帽子を被っているようなのに、ユニフォームを着ているところはみたことがないので、ネットで新井選手のサイン入りユニフォームを購入して、殺害現場にあえて遺留します
これで連続ユニフォーム狩り犯人が誤って対象者を刺殺してしまったかのような体裁を整えたわけです
被害者がしばしば訪れていたというベースボールバーで聞き込みをした警察は、そこのマスターから被害者が熱心なカープファンだったとの証言を得ます
さらにバーの常連客から、前田選手を崇拝していたためなのか被害者がイチロー選手をdisっていたこと、被害者はサッカーにも興味があったのかレッズファンだと述べていたことなどを聞き取ります
これらの証言が指し示す爆笑必至の真相と意外な犯人とは?
いやあ、タイトルを含めて本当にうまいなあ!
野球をお題として出されて執筆された作品だとのことですが、完璧な出来映えですね
また、大山誠一郎さんの作品も、「顔のない死体」をテーマにしたなかなかのデキで、他の作品を読んでみたいと思いました
ベスト本格ミステリ2018 (講談社ノベルス)
1,836円
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