八島游舷さんの「天駆せよ法勝寺」を読みました
短編SF小説なのですが、これは傑作
舞台はあまねく宇宙中に仏教が広められている世界で、「佛理学」の力をもって宇宙空間を巨大な仏塔がロケット代わりに飛行するという設定です
とにかく冒頭から漢字による造語が多く、真面目に仏教的背景に基づく設定を説明されればされるほどギャグっぽくなっていくところがいいですね
主人公の僧らは修行の末に法勝寺に乗り込み、持双星を目指します
表向きの目的とは異なり、主人公に課された裏ミッションは「忌まわしき持双星大佛を滅する」こと
道中では宇宙ものあるあるの「どうやら裏切者がいるらしい」という展開が待っています
謎の「偽佛」たちが、ワープ空間ならぬ「中空」を進む法勝寺の行方を阻もうとして大暴れするところや、不可視のはずのシールドならぬ「法壁」が、「偽佛」の「佛理的干渉」によって文字列として可視化されていくところは、まるで「GANTZ」のワンシーン!
「中空」で「加速醸佛」された少女が、持双星にて衆生を吸収して蓮華万手大観音に化身していくクライマックスシーンも、状況がはっきりと目に浮かぶようで大変見事な演出でした
ラストは意外とあっけない感じでしたが、これは続編が望まれますね