クリスチアナ・ブランドさんの「自宅にて急逝(Suddenly At His Residence)」を読みました
作者がイギリスの女性であること、遺言の書きかえを巡って殺人事件が起こること、医師のカバンから盗まれた薬品が使用されること、などの点は、エリス・ピータースさんの「雪と毒杯」(2018-03-08)に似ています
しかし、作品のクオリティは比べ物にならないほど圧倒的に違いました
まず文章に華があるし(翻訳ですが十分にわかります)、キャラクターの造形も見事です
特に、自分がしたことを覚えていられないかもしれないという、自称「精神異常者」を登場させたのはうまいですね
また、トリックが素晴らしい!
被害者が殺害された離れと母屋の間には、最後に被害者の生存が確認されたと思われる時間以降に庭師が砂を蒔いており、足跡がくっきりと残る状況にあったという前提の下、残った足跡は被害者の死亡を確認した者が最後に往復した一組のみだというのです
作中にはかなり早い段階からはっきりと伏線が示されていたのですが、気持ちよくやられました!
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