石持浅海/扉は閉ざされたまま | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

石持浅海さんが2005年に発表した「扉は閉ざされたまま」を読みました

 

その年にずいぶんと話題になっていましたので、遅くとも翌年には読んでいるし、面白かったことに間違いはないのですが、情けないことに内容を全く覚えていません

 

ただ、「賛美せよ、と成功は言った」(2017-12-01)と同じ探偵役碓氷優佳が登場するということなので改めて読み返してみたところ、自分の記憶力の悪さが功を奏して、まるで初めて読む作品のように楽しめました

 

高級住宅街の瀟洒な屋敷で大学の同窓会が開かれるのですが、ある参加者の男性が割り当てられた自室にいったん引っ込んでからいつまで経っても出てきません

 

非常に高級な素材が使用されているドアを壊すわけにもいかないし、窓の外から梯子をかけてのぞき込むのも近所の手前難しいという設定もあって、犯人が巧みに誘導するとおり参加者はみな放っておこうという流れになります(倒叙式なので犯人は最初から明らかです)

 

しかし、探偵役の女性だけは、会話でじわじわと犯人を追い詰めていきます

 

秀逸なのは、扉が開かれるのがラスト1行であること

 

倒叙式なので扉が開かれれば中がどうなっているかは明らかなのですが、すでに探偵役には中をみなくても全部わかっているということが際立つ演出になっており、非常に効果的です

 

動機が無理やりすぎるところはありますが、その動機を前提にしないと犯行後の犯人の言動が成り立たないので、そこはやむなしでしょう

 

碓氷優佳シリーズは他にもあるようなので、また読んでみたいと思います