非番の警察官が幼稚園の娘に付き合ってハロウィンの衣装を買いに出かけたところ、たまたま包丁を振り回すストーカー男に遭遇します
出口に向かって逃走しようとする犯人の前に立ちふさがるも、異様な殺気に思わず立ちすくんでしまいます
そのとき、横から同じ店に買い物に来ていた娘の幼稚園の同級生の父親が飛び出てきて、園で顔見知りであった警察官を突き飛ばしてくれたため、ギリギリで難を逃れます
しかし、犯人の矛先が突き飛ばしてくれた男性に向いてしまってもみ合いとなり、その男性は犯人の頭を5回ほど棚に打ちつけて死なせてしまいます
男性自身の服には包丁で切りつけた跡があり、店内で販売されていたおもちゃの携帯電話にも包丁が思い切り突き刺さった跡があるため、男性が命拾いしたのはラッキーだったのですが、裁判で過剰防衛を問われて執行猶予付の有罪判決を受けます
もっとも、周囲はこの英雄を称え、失職等の不利益は一切ありませんでした
という一見何の変哲もない事件におけるもう一つの可能性とは?
坂口安吾さんの「不連続殺人事件」における「心理的トリック」(経験則違反)の流れは個人的に極めて好みなのですが、本作でもその流れで見事な筋が作られます
非常に満足しました