早坂吝/双蛇密室 | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

早坂吝さんの「双蛇密室」を読みました

 

38年前に起きた蛇が関わる2つの密室事件を「援交探偵」上木らいちが解くミステリになります

 

昨日も述べたように、個人的にミステリに期待しているのは、気持ちよくだまされることです

 

そのため「そうきたかあ」となる意外な動機・意外な犯人・意外な探偵などを扱った作品はすごく好みですね

 

本作は、意外な犯人をテーマにしており、ある意味での「究極の犯人」を作出する、なかなかの工夫が見られました

 

なお、「援交探偵」というのはキャラ付けなので、意外な探偵とは思いません

 

意外な探偵を作出するのは、神様シリーズや危ないおじさんなど、早坂さんの大学の先輩である摩耶さんがうまいですよね(あえて貴族探偵はあげない)

 

本作は「意外」といっても非常にフェアに話が進められているところや、「援交探偵」というキャラが真相解明にしっかり生かされているところなどの点でも好印象でした

 

また、登場人物が双子であることについて本作が使った切り口は、地味ながらめちゃくちゃ斬新なのではないでしょうか?

 

そういえば、この間読んだ「誰も僕を裁けない」(2017-06-06)でもそうでしたが、法学部卒の作者らしい法律ネタ(今回は、実務上の重要性は著しく低いが、民法と刑法で誰もが必ず勉強するであろう超著名論点)が入っているところもよかったですね

*2018.05.29追記:法学部卒と書きましたが、文学部を卒業されているとのことでした。訂正いたします。

 

早坂さんは、デビュー作(2014-12-22)もそうでしたが、発想にものすごい瞬発力があるので、次作も楽しみです