東川篤哉さんの「かがやき荘アラサー探偵局」を読みました
西荻窪を中心に荻窪や吉祥寺を舞台にした4つの短編からなる連作短編集です
第1話は、荻窪に住む富豪の女性が、自分の秘書にするために親戚の男性を屋敷に招いた際に、庭の離れで起きた殺人事件です
屋敷を訪ねた男性が使用人らとダイニングルームへ向かう時に、はっきりと離れに設置されている大型テレビの位置に映像が映し出されているのを目撃するのですが、その後に離れで居候が銃殺されているのがみつかります
被害者を貫いた銃弾が大型テレビの画面を破壊していることから、犯行時間が絞られますが・・・
十分魅力的なトリックですが、東川さん自身の「魔法使いとさかさまの部屋」(2013-05-25)の焼き直しという感は否めません
第2話は、西荻窪のシェアハウスに住む3人のアラサー女性たちが、まだまだ使える大型の洗濯機が廃棄されているのをみつけて持ち帰ります
とりあえず玄関先に置いて寝入ったのですが、夜中に洗濯の音で目が覚めます
いつの間にか誰かが外に干してあった何枚かの雑巾を洗濯していたのです
果たして何のために???
ちょっと狙いがわかりやすいきらいはありますが、発想が素晴らしいと思いました
第3話は、70過ぎの真面目な男性が、なぜか金曜日になると自家用車で出かけるようになりました
浮気を疑った男性の娘からの依頼で、アラサー女性たちが男性を尾行するのですが、2週続けてマンションの工事現場そばでしばらく車を停めてから、そのまま自宅に帰ってしまいます
3週目もそこに停めるのかと思いきや、男性は今度は善福寺公園に向かいます
果たして男性の目的は???
昔ならすぐにピンと来られるかもしれませんが、現在だと気づきにくいという絶妙なネタだと思いました
なぜ3週目に場所を移動するのかという点も、細かいところが詰められていて良かったです
第4話は、アラサー女性チーム一番の名探偵が、西荻窪向上委員会を名乗るロマンスグレーの紳士から、雑誌にインタビュー記事を掲載させてほしいと声をかけられます
さらに、雑誌の表紙になってほしいと言われてデパートで服や靴を買ってもらい、撮影後にレストランで食事をごちそうになります
果たして男性の目的は???
多くの人がホームズのアレを想起することは東川さんの方でも先刻承知で、登場人物にちゃんと「『赤毛連盟』じゃあるまいに」と言わせています
シンプルですが、大胆で優れた発想のネタだと思います
また、短編なのに見事な伏線を張ってしっかり回収しているところもさすがでした
全般的に満足できる短編集でした
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