村上春樹/騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編 (その2) | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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村上春樹さんの新作長編「騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編」の残り半分を読みました

以下であらすじを記載しますので、未読の方は注意してください




主人公は、近所の男性といっしょに、鈴の音が聞こえてくる箇所を掘り返してみます

そこは大きく深い井戸のような穴になっており、底に鈴のような仏具のような物がただ1つ転がっていました

その後、主人公は「騎士団長殺し」の絵に描かれている騎士団長の形を借りた思念(イデア)に出会います

本作のプロローグはかなりシュールな雰囲気に包まれており、そのことから「非常にぶっ飛んだ物語になるかもしれないと危惧して」いたわけですが、イデアの出現でいよいよ物語は不思議な様相を呈してきました

もっとも、物語のバランスが失われることはありません

近所の男性の肖像画を、これまで仕事で描いてきた肖像画とは全く違い、芸術的衝動の赴くままに描ききった主人公は、その男性から頼みごとをされます

孤独を愛するその男性は、結婚をしたことがないのですが、過去に交際していた女性と別れる際に「ガープの世界」のガープ的に子をなしたのではないかと考えています

そして、その子は、主人公がアルバイトとして絵を教えている小田原の絵画教室に通っている女の子だというのです

主人公は、その女の子の肖像画を描くことを新たに依頼されます

そして、大変なことが起こったのですというヒキで第1部終了

ここまでは、近所の男性が五反田くん、その娘らしき女の子がユキみたいな立ち位置で(ユキのような魅力はまだ発揮されていませんが)、平成の「ダンス・ダンス・ダンス」といった雰囲気です

今からもう30年ほど前になる昭和のラストに、発売されたばかりの「ダンス・ダンス・ダンス」を買い、予備校の授業をサボって代々木のミスタードーナツで読みふけったことを懐かしく思い出しました

第2部も楽しみです