4つの連作短編を収めた短編集です
主人公(ワトソン役)はヘマをしてスーパーを首になり、武蔵新城で便利屋をやっている31歳の男性
探偵は、武蔵溝ノ口に屋敷を構える名探偵夫婦の娘、10歳のアリサです
東川さんは、これまでも八王子・国分寺・平塚など、いつも微妙な地域を絶妙にセレクトしてきていますが、今回も武蔵新城・武蔵溝ノ口というところを選んできました
「武蔵小杉の住人は武蔵中原や武蔵新城の住人を見下している」とか、どうでもいい地域いじりが今回もさえています
しかも、地域名そのものをトリックに使用するなど、非常に工夫が見られます(「夜タクシーに乗って『たまプラまで』とだけ告げてから爆睡し、『着きました』と起こされたら、そこは鎌倉だった」というネタを思い出しました)
ち な み に 東川さんの代表作に登場する国立は、微妙な地域ではありません
2012-08-18でも述べたように、国立市は(地図上では)東京のど真ん中にあるのですから
アリサの両親は出張で不在がちなのですが、彼らが捜査を依頼されているという事件が「落ち武者伝説に纏わる八つの連続殺人」とか「ナイル川をクルーズする豪華客船の船内で、大富豪が何者かに銃で撃たれて死ぬ」とか「瀬戸内海の孤島で起こった三姉妹連続殺人事件」とか「爬虫類のたくさんいる館で起こった密室殺人事件」など、これにもいちいちニヤっとさせられます(「南フランスのカンヌで<<猫>>と呼ばれる怪盗を追っている」というところだけ小説じゃないのが作者の映画好きを明らかにしています)
トリックはまあまあという程度なのですが、とても楽しく読むことができました
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