陳浩基さんの「世界を売った男」読了
中国語での応募が条件とされている「島田荘司推理小説賞」の第2回受賞作品です
舞台は香港で、登場人物は当然すべて中国人ですので、ノックスの十戒に照らすと初手からアウト(笑)
それはさておき、本作は、「朝起きたら、刑事だったはずの自分の記憶が、まるでタイムスリップしたかのようにすっぽり6年分失われていた」という設定から始まる作品です
島田さんの「眩暈」を思わせるような意欲的な謎を打ち上げ、そちらに読者の目をひきつけておいた裏で、本格推理小説の「基本中の基本」といえる技がしっかり繰り出されており、楽しめました
ラストは強引な流れを詰め込みすぎて、消化不良のやりすぎ感も漂いましたが、トータルとしては十分満足です
また、訳者の方が非常に巧く、翻訳物であることを忘れてしまうくらいでしたので、そこも満足できた理由に挙げられますね
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