羽海野チカ/3月のライオン 第5巻 | 弁護士宇都宮隆展の徒然日記

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くにたち法律事務所@吉祥寺 東京大学法学部卒 東京弁護士会所属(35489) レアルマドリー・ボクシング・小説・マンガ・音楽・アート・旅行・猫などが中心のブログです

2009-07-04及び2009-08-15で触れた羽海野チカさんの作品における「悪人問題」については、不存在のまま流れていくのだろうと思っていましたが、本巻では初めて人間のリアルな「悪意」が取り上げられました

いじめの問題です

その中で、主人公は「回心」ともいえるような体験をします

これまであかりさん達の一家と出会ったこと、高校の先生と出会ったこと、島田八段と出会ったことなどを通じて、主人公の固く閉ざされた心は「かち割られた」ものだと考えていたのですが、いまだ十分ではなかったということなのですね

確かに、家にも学校にもどこにも居場所がなかった主人公の「指して、指して、指して、指して、指して、指して・・・」に照らしてみれば、そう簡単に解消されるようなものではなかったのでしょう

主人公の心の奥底に根深く潜む「諦念」や「自己否定感」は果たして払拭されたのでしょうか?

誰かのために何かをしようと感じたこと自体が大きな大きな進歩なのでしょうが、上記の体験を踏まえた主人公の今後の行動がますます楽しみです