雇用契約と請負契約の違いについて | 港区の社会保険労務士 内海正人の成功人材活用術!!

雇用契約と請負契約の違いについて

今回は「雇用契約と請負契約の違いについて」を解説します。 

 

まず雇用契約ですが、契約を結んで就労する場合には、会社と従業員との間に指揮命令権などが発生することになります。

 

そして、労働関係の法令における「労働者」に該当することになり、そのため、労働関係の法令による保護を受けて業務を行うこととなるのです。

 

それに対し、請負契約では会社と請負人との間に指揮命令権などが発生しません。

 

これにより、労働関係の法令における「労働者」に該当せず、労働関係の法令による保護を受けることができなくなります。

 

雇用契約で人を使えば、厳しい労働関連法の保護が適用され、会社の負担が大きくなります。

 

しかし、請負契約なら、労働関連法の保護が適用されず、また、結果で仕事を判断されるだけなので、事業主にとっては「使い勝手がいい」と考えらえます。

 

 

労働基準法等の規制を免れるために、偽装するため、このような請負契約が使われている場合があります。

 

しかし、契約の名目にかかわらず、また、受注者自身が雇用契約でないことについて納得して、委任契約書や請負契約書が締結されたとしても、労働者かどうかは、あくまで、実質的に判断されます。

 

この労働者か?否か?の判断要素ですが、以下に掲げるもので判断します。

 

【労働者と判断されやすい要素】

 

1. 指揮監督下の労働といえるか

 

・受注者に仕事の依頼・業務従事の指示などに対する諾否の自由がない

 

・会社が受注者に業務の具体的内容及び遂行方法に関する指示を行っている

 

・会社が、受注者の業務の進捗状況等を管理し、受注者に逐次報告させること等により把握している

 

・勤務場所・勤務時間を定めている

 

・業務の代替性がある

 

2. 報酬が労務の対価で設定されているか

 

・報酬が時間給を基礎として計算されるなど、労働の結果による報酬の格差が少ない

 

・欠勤時に欠勤分の報酬が控除される

 

・残業時に通常の報酬以外の手当が支給される

 

3. 事業者性がないといえるか


・会社が業務に必要な機械・器具等を所有し、受注者に貸し出している


・受注者が独自の商号を使用していない

 

・受注者が業務遂行上の損害に対する責任を負わない

 

・他社の業務に従事することが禁じられていたり、従事することが困難である

 

・報酬に固定的部分があったり、業務の配分等により事実上固定給となっている、その額も生計を維持し得る程度のものであるなど、生活保障的要素が強い

 

・労働保険の適用対象としている、退職金制度を適用している、福利厚生制度を適用している

 

 

この判断は形式的に契約書が「請負契約」となっていても、「すべて」実態で判断されてしまうのです。

 

特に、個人に発注している業務に関しては、実質は雇用契約と判断されかねないものが多く、問題となった場合に予想外の多大なリスクを負うことになります。