第2定年を定めよう
今回は「第2定年を定めよう」を解説します。
人手不足で、多くの会社が悩んでいます。
現在、失業率はバブル期より低くなっています。
そして、「採用したいが、応募する人さえいないので、困っています」という声を多くの企業からお聞きします。
この人手不足の解消を行うため、どうしたらよいか?多くの会社で頭を悩ませていますが、50代の人材を契約社員として、採用しこの難局を乗り切ろうというクライアントもいます。
そして、定年についてのご質問をお受けしました。
「当社では人手不足解消のため、50代の方を契約社員として積極的に採用することになりました。
当社の規定では定年が60歳となっていますが、就業規則の変更などが必要となりますか?」この会社では50代の方を有期雇用の契約社員として、採用する方針とのことです。
ここで、気を付けなければならないことがあります。それは「無期転換ルール」との関係についてです。
無期転換ルールとは
〇同一の使用者(会社等)で
〇有期労働契約が通算5年を超えて
〇反復更新されたとき
〇労働者の申し込みで
有期雇用契約が無期雇用契約に転換する制度です。
この無期転換ルールの適用については、定年後の継続雇用の従業員とそれ以外の従業員とで取り扱いが異なります。
これは「定年後再雇用者」とそれ以外の有期契約労働者でルールが異なるということです。
定年後、継続雇用で有期労働契約を結んだ従業員の場合、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新される場合、一定の要件※のもとで無期転換ルールの適用がありません。
しかし、継続雇用ではなく、有期雇用契約を結んだ従業員の場合、定年を超えて反復更新される場合、継続雇用者の特例が適用されず、無期転換ルールの対象となるのです。
このような労働者については、定年を超えた年齢になってから無期転換が行われるため、「定年」が適用されないのです。
そのため、会社側は従業員が定年を超えた年齢になって無期転換 した場合、心身の状況に耐えられない等の解雇事由が認められない限り、雇用し続けなければならないのです。
こうなると、雇用の活性化や業務の循環などへのリスクが高まってしまうと考えられます。
そこで、高齢の労働者を新規に採用し、有期契約で雇用する場合、定年を超えた年齢の従業員による無期転換が行われる可能性があるときは、第2定年を定めることが必要になります。
これは、法的は紛争のリスクを軽減するためにも必要ですし、年齢という客観的な基準があった方が働く側も「見えている」ので、トラブルにはなりにくいでしょう。
第2定年を定めるには就業規則等で記載しないといけません。
ただし、すでに64歳の社員がいる場合などで、第2定年規定を作成し、適用させて直ちに退職を促すような行為などはトラブルの火種となります。
このような社員に対し、経過措置等を設けて、十分な配慮を行う必要があるでしょう。