副業、兼業を認めることはできますか? | 港区の社会保険労務士 内海正人の成功人材活用術!!

副業、兼業を認めることはできますか?

今回は「副業、兼業を認めることはできますか?」を解説します。

 

副業、兼業を希望する労働者が増え、政府も「働き方改革」の一環としてこれを推進しています。

 

しかし、会社が副業、兼業を認めると、長時間労働を助長するなどさまざまな問題が考えられるので慎重に検討することが必要です。

 

では、副業、兼業が現状どのようになっているか?みてみましょう。

 

〇副業、兼業を希望する者は年々増加傾向にあり、副業、兼業を行う理由は、自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、資格の活用、十分な収入の確保等さまざまである。

 

〇副業、兼業の形態も、正社員、パート・アルバイト、会社役員、起業による自営業主等さまざまである。

 

〇多くの企業では、副業・兼業を認めていない。

 

→会社が副業、兼業を認めるにあたっての課題・懸念としては、自社での業務がおろそかになること、情報漏洩のリスク、競業、利益相反になること等が挙げられる。

 

〇副業、兼業に係る就業時間や健康管理の取扱いのルールが分かりにくい。

 

〇副業、兼業自体への法的な規制はないが、厚生労働省が成29年12月で示しているモデル就業規則では、労働者の遵守事項に、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がある。

 

〇裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由と考える。

 

〇各企業においてそれを制限することが許されるのは、労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩する場合、企業の名誉、信用を損なう行為などである。

 

→競業により企業の利益を害するも同様と考えられる。

 

 

このように、副業、兼業に否定的な意見もありますが、国の政策としては「働き方改革」で副業、兼業を推奨する流れとなっています。 

 

これは、AIをはじめとする技術の進化で仕事が大きく変化する可能性があり、その時に働く人が一つのスキルに頼らないために副業、兼業を進めているという話もあります。

 

しかし、現実的には情報漏洩や長時間労働の助長など、対応しなければならないことがたくさんあり、特に中小企業が及び腰です。

 

よって、副業、兼業を許可制にしたり、禁止したりしている会社が多いのも事実です。

 

しかし、副業、兼業をしたことで懲戒処分が合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められなければ、懲戒権濫用となるのです。

 

標準的な処分としては戒告、減給ということが妥当と考えらえます。

 

なぜなら、公務員のガイドラインや裁判の判断でも「即解雇」等の前例は見当たらなかったのです。

 

前例や許可なく行った副業、兼業の程度を調査して、適切な判断が必要となるでしょう。

 

これを感情的に「けしからん」として、処分を決めることのないように冷静な判断が求められるのです。

 

そのためには懲戒処分の進め方が重要となってくるのです。

 

そのためには詳細な規定を決めておくことをおすすめします。