退職勧奨が違法になる?
今回は「退職勧奨が違法になる?」を解説します。
「退職勧奨とは?」
先日、ある社長から質問された内容です。
退職勧奨とは「合意退職してもらう手段」で、簡単に言うと「会社が社員に退職をすすめる」ことです。
解雇とは異なり、単に「すすめる」だけなので、強制力等はありませんが、社員側からすれば、「会社にはいられない」となり、重い意味を持つこととなるのです。
そのため、退職勧奨をしたらトラブルになったというケースも多くあります。
たとえば、話をしたらユニオンに駆け込んだ社員がいて、労使紛争になったという話も聞いていいます。
そのため、退職勧奨を行う場合は準備が重要となってくるのです。
具体的には以下の流れとなります。
〇退職勧奨の理由の整理
〇退職条件
→例:退職金の増額
→例:有給休暇の買取
→例:再就職支援
〇退職勧奨実行の段取りの決定
〇対象社員と面談
〇退職届(もしくは退職合意書)の作成
〇合意退職
ここでポイントとなるのは対象社員との面談です。
面談する場合は守らなければいけないことがあります。
それは、「社員等の自由な意思決定が妨げられるような状況、方法で行わないこと」なのです。
つまり、会社が「強制的に退職をさせること」とみられると社員側の意思表示が無効となってしまう可能性が高くなります。
退職強要となると退職勧奨そのものが「不法行為」と考えられ、慰謝料の対象となることもあるのです。
しかし、現場では「早く退職勧奨をすすめたい」「強く迫りたい」等の意見が出る場合も多く、感情的な流れになってしまう場合も見受けられます。
この場合は冷静にアクションすることをお勧めします。
なぜなら強引に事を進めると「退職強要」と判断されてしまい、会社としても言い渡した上司等も裁判等になったら、大きな犠牲を払うこととなるのです。
では、「退職勧奨が違法にならないようにする」にはどうしたら良いでしょうか?
具体的には以下の対応を面談する時に考慮しましょう。
〇勧奨者は2人程度とし、威圧感を与えない
〇可能な限り就業時間内に実施する
〇場所は社内とし、窓がある明るい部屋がのぞましい
〇1回の面談時間は30分~60分程度がのぞましい
〇対象者が勧奨に応じない場合、執拗な勧奨を避ける
→ただし、説得や説明を行いことは問題ない
ある事例で、「会社に残るデメリットを伝えた」件について、これは問題ないと判断されたケースもあります。
退職勧奨の実施について、解雇同様、社員の労働条件に大きくかかわることなので、慎重に進めることが重要です。
特に面談等で冷静な対応が必要となります。
「感情的」になってしまうと「火に油を注いでしまう」ことになりかねないので注意しましょう。