社員がお金を盗んだら・・・
今回は 「社員がお金を盗んだら・・・」を解説いたします。
今回のテーマは「着服」を例に挙げます。
ただ、「意図的な器物の損壊」などにもあてはまる考え方です。
じっくりお読み下さい。
先日、ある社長さんから相談がありました。
「社員が売上の一部を着服したのですが、どうしたらいいでしょう」と。
よく話を聞いてみると、金額は「1万円」です。
ただ、その社長は懲戒解雇をしたいということでした。
さあ、この場合はどうなるのでしょうか。
もちろん、着服は犯罪ですが、証明が難しいこともあります。
ただし、証明できれば、金額に関わらず解雇は有効となります。
それも、懲戒解雇になるケースがほとんどです。
これに関する裁判例をご紹介します。
○平成元年3月 東京高裁
→前橋信用金庫事件 1万円着服で懲戒解雇
○平成13年10月東京地裁
→JR東日本事件 6万円着服で懲戒解雇
○平成7年3月長野地裁
→川中島バス事件 3,800円着服で懲戒解雇
○平成9年9月東京地裁
→上田株式会社事件 3万円の商品の不正取得で通常の解雇
等があります。
もちろん、金額の大小は関係ありません。
会社に大きな損害を与えたかどうかは関係ないのです。
だから、会社のルールに違反した行為に対する制裁です。
ここから、皆さんにお伝えしたいことは下記の点です。
○就業規則にやってはいけないこと具体的に記載
→「着服」をここに記載します
○就業規則に具体的な罰則を記載
→着服したら、懲戒解雇になることを記載
→これが書いてないと、「すぐには」懲戒解雇にできない
○ビデオカメラの設置
→例えば、コンビニにレジの上にはビデオカメラがあります
→犯罪防止のためならば、社員に内緒で設置してOKという判例あり
→やりすぎは社員と会社の信頼関係を壊すので注意
ということです。
だから、皆さんは「最低限のことを就業規則に盛り込む」「必要なことについては社員に理解を求める」ということをして下さい。
そして、仮に違反行為があれば、きちんと罰して下さい。
それが真面目にやっている社員に対する誠意です。
だから、金銭に限らず、ルール違反には厳しい態度で臨んで下さい。
ただし、注意点があります。
なぜなら、ビデオカメラはプライバシーを侵害する可能性があるからです。
そのため、事前にビデオカメラがあることを社員に知らせて下さい。
例えば、「ビデオカメラ設置の同意」「ビデオカメラ設置理由の説明」などを入社時の誓約書に記載するのも1つの方法です。
大切なことは着服などを防止するということなのです。