部下の不祥事に対する上司の処分は? | 港区の社会保険労務士 内海正人の成功人材活用術!!

部下の不祥事に対する上司の処分は?

今回は「部下の不祥事に対する上司の処分は?」を解説します。
 

先日、ある会社からご質問がありました。

 

「部下が不祥事を起こした場合、直属の上司にもなんらかの懲戒処分を科すことを検討しています。これは管理者責任を自覚させるのが目的ですが、部下の処分よりも軽くすべきか重くすべきかなどの考え方について教えてください。また、部下が重要な企業秘密を漏えいして懲戒解雇になる場合、その上司も併せて解雇しても問題ないでしょうか」

 

最初に結論をお話ししますが、部下が不祥事を起こした場合、上司に懲戒処分を科すことは可能です。

 

ただし、これは「就業規則に定めがあること」が前提です。

 

逆に言うと、明確に記載がなければ、上司の処分はできないのです。
 

 

就業規則の参考条文は以下となります。

 

(制裁の事由)
 

第○条 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、訓戒、譴責、減給、出勤停止又は降格降職とする。
     <中略>
○部下に対して、必要な指示、注意、指導を怠ったとき

 

○部下の、懲戒に該当する行為に対し、監督責任があるとき

 

そして、上司の責任として懲戒処分を行う場合は

 

○管理者として監督指導義務の不履行があったか?
 

○規律違反(不履行)の程度はどのレベルか?
 

○会社に前例があるかどうか?
 

ということが重要です。
 

また、通常の場合は「上司の処分 < 部下の処分」となるでしょう。

 

しかし、部下の行為が重大な違反で、会社に大きな損害をもたらす場合、行為の阻止、発見の遅れについて、上司に重大な過失があるならば、懲戒解雇の対象になり得るのです。

 

 

重要な企業秘密の漏えいをした部下の上司にも解雇を検討する場合、処分のポイントは以下となります。
 

○企業秘密の漏えいが発見できなかったことに重大な過失があるか?
 

○漏えいを見過ごしていないか?
 

だから、この発見の遅れの原因が管理の怠慢、放置、故意などの場合は重過失として、解雇を検討する必要があるかもしれません。

 

しかし、通常の管理を行っていた場合、解雇は無理なので、解雇よりも軽い懲戒処分を検討することになります。
 

 

当然ですが、巧妙な手口で行われ、簡単に発見できないような不正ならば、上司に重い処分は科せません。
 

ただし、こういう時は
 

○譴責(けんせき):始末書を提出させ、反省を促す
 

○減給:始末書を提出させ、給料の10%カットなど、という懲戒処分が相当と考えられます。
 

もちろん、このような不正行為は発生しないことが一番です。

 

さらに、管理者である上司にも管理する意味を「繰り返し」伝えていくことが重要です。