携帯電話が休日に鳴ったら・・・? | 港区の社会保険労務士 内海正人の成功人材活用術!!

携帯電話が休日に鳴ったら・・・?

休日に携帯電話(会社名義)の電源を入れさせている場合、電源ONの時間も労働時間となってしまうのでしょうか?

 

また、休日にお客様から携帯に電話があり、実際に対応した時間は労働時間に含まれるのでしょうか?」
 

 

先日、ある社長からこういうご質問を頂きました。

 

これは業種を問わず、あり得ることですが、法的にはどう考えればいいのでしょうか?

 

まず、「携帯電話の電源ONは労働時間か?」について解説します。

 

もちろん、「携帯電話(会社名義)の電源は休日でもONにしておく」ということは業務命令である前提です。

 

仮に、携帯電話の電源ONの時間が労働時間ならば、法律で定められている労働時間(1週間40時間、1日8時間)を大幅に超えてしまいます。

 

そして、割増賃金がドンドン膨らんでいくことになってしまいます。

 

しかし、労働時間とは「会社の指揮監督下にある時間」であり、実際の作業をしている時間だけが該当する訳ではありません。

 

例えば、工場でラインが動き出すのを待っている時間も労働時間です。

 

システムトラブルで何もできない時間も労働時間です。 
 

 

しかし、携帯電話の電源ONという状態は会社の業務命令とはいえ、指揮監督下にあるといえるのでしょうか?

 

これに関して、労働法に強い弁護士さんに確認したところ、次の労働基準法規則23条が「参考になる」とのことでした。

 

この23条には、「断続的な業務は通常の業務とは別の業務、この別の業務は一定の労働時間を超えても、残業代が発生しない」ということが書かれています。
 

だから、携帯電話の電源を入れているが、鳴ったら対応するという断続的な業務は「通常の業務」ではないのです。
 

この場合、「社員に対する場所的な拘束」が大きなポイントになり、単に携帯電話の電源ONという状態は場所の拘束がないので、「通常の業務」ではないのです。
 

 

だから、電源を入れているだけでは「通常の業務」とはならないのです。

 

ただし、「通常の業務」ではないとはいえ、実際に携帯電話で対応する場合もあるので、手当の支払いは必要になります。
 

 

また、法律では緊急電話の対応等につき、相当の手当が支払われている場合(平均賃金の1/3程度)は次のようになります。

 

例えば、1時間あたりの平均賃金が900円の人が10時間、携帯電話をONにしていたら、「300円×10時間=3,000円」程度の手当が必要」です。

 

そして、「回数は月1回程度」が目安でしょう。

 

この回数の定義は明記されていないのですが、電源ONの携帯電話を持っているのが、月1回程度(例:持ち回り担当制)などであれば、問題無いとされています。

 

結果として、相当の手当があり、月1回程度の携帯電話の電源ONは通常の業務にはなりません。

 

しかし、現実問題として、こういう状況にある会社は微妙な要素を含んでいることが多いでしょう。

 

だから、このような運用を実施する場合、「きちんと就業規則等に記載すること」「手当を支給すること」「具体的な運用を明確にし、場合によっては運用の改定」が必要になるのです。