車が発進して、大和は助手席の窓から外を見た。
歩いている時とは比べ物にならない程のスピードで緑が駆け抜けていく。
顔一杯に風を感じていると、男性が声をかけてきた。
「本当にあんちゃん、こげんとこでなんしちょっとか?家出か?それともこいか?」
そう言い、男性は器用に右手でハンドルを握りながら、左手で小指をぴんと立てた。
今時それは古いんじゃないですか、という言葉を呑みこんで大和は曖昧に笑った。
「そんなんじゃないです。ただの家出です」
「ほう、そうか。にしても気いつけれよ。昨日けな…
ほら、町草商店街近くの民家で、殺人があったっちゅう話だぞ。」
その言葉を聞いて思わず肩が跳ね上がり、大和は視界から緑を追い払った。
「ほ、本当ですか?!それで、犯人見つかったんですか?!」
大和は思わず掴みかかりそうな勢いで問い詰めた。
男性は大和の勢いに一歩引きながらも、首を振った。
それを見て大和自身、自分の肩が落胆してがくりと落ちるのを感じた。
明らかに意気消沈する大和を見る男性には大和の素性など知る由もない。
しかし、大和にとっては、いっそのことさっさと警察に捕まってしまえばよかったのに、と母に思った。
「なんかあ、知らんが。元気出せ…あんちゃん。生きてりゃいいこともあるさ」
生きてりゃ
じゃあ、死んでしまえば?
大和は何気ないその言葉に背筋が凍るのを感じた。
「そうですね」と乾いた笑いを零し、なんとか表情を繕う。
今は無理にでも表情を造らなければ恐怖で泣いてしまいそうだった。
俯いていた視線を上げ、気分を晴らすために風景を眺める。
すると、軽トラックが走る田園の中を両断する一本道の先に、何やら白い影が見えた。ぼんやりとした物体であったが、大和はすぐに目の前が真っ暗になるのを感じた。
呼吸が浅く、早くなっていく。目を見開いたまま、大和は生唾を飲み込んだ。
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大分放置してすいません、中々更新できないもんですねー
受験その他もろもろが控えているので、更新停滞します。
思いだした時にでも読んで下さるとありがたいです。
傘那。//
