ムットーニをご存知でしょうか?

 

 実のところ、私も先日知ったばかりなのですが...。

 

 まずはこれをご覧いただきましょう。

 

 人形たちが織りなす、摩訶不思議な幻想世界。

 

 私はこれを、群馬県前橋市にある《前橋文学館》にて体験してきました(5月17日)。

 

 作品は「殺人事件」「風船売りの夢」の二作品。共に萩原朔太郎の作品をイメージした作品でしたが、「殺人事件」の幕が開いた瞬間、流れてきた音楽がこれでした...。

 

 横たわる女性の死体、スーツ姿の男、そしてキリギリスの鳴き声。バルバラ「貴婦人(Drouot)」が流れる中、朔太郎のこの詩が朗読されました。

 

 「伝説の」Pantin Liveを聴きながら、朔太郎の詩をお読みください。 

  


  殺人事件

 とほい空でぴすとるが鳴る。
 
 またぴすとるが鳴る。
 
 ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて、
 
 こひびとの窓からしのびこむ、
 
 床は晶玉、
 
 ゆびとゆびとのあひだから、
 
 まつさをの血がながれてゐる、
 
 かなしい女の屍體のうへで、
 
 つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。

 しもつき上旬のある朝、
 
 探偵は玻璃の衣裳をきて、


 街の十字巷路を曲つた。
 
 十字巷路に秋のふんすゐ、
 
 はやひとり探偵はうれひをかんず。

 みよ、遠いさびしい大理石の歩道を、

 曲者はいつさんにすべつてゆく。
 

            萩原朔太郎『月に吠える』より

 

 私はこの人形たちの演じる物語にすっかり魅せられてしまいました。

 

 ムットーニの企画展があれば、ぜひお伺いしたいと思います。ご本人にお会いできたら、こう聞いてみたいと思います...。

 

 「バルバラがお好きなのですか?」