そういえば...と思い出したのが、映画《アンナとアントワーヌ》。

 

 本ブログでも何度か取り上げたのだが、肝心の映画を観た後の感想を書いていなかったことを思い出した。

 

 クロード・ルルーシュ監督、フランシス・レイ音楽の久々の日本公開作品である。

 

 10代で観た映画《男と女》の衝撃!

 

 役者は多くを語らない。

 

 フランシス・レイの雄弁で甘美がメロディが映像から溢れ出る。

 

 1968年のグルノーブル冬季オリンピックの記録映画《白い恋人たち》にはセリフは一切ない。やはりフランシス・レイの親しみやすいメロディが、主人公(様々な競技の選手たち)にピッタリと寄り添っていた。

 

 再び、《アンナとアントワーヌ》の予告編をどうぞ。

 

 

 

 インドのフランス大使の妻アンナ、映画の撮影のためにインドにやって来た映画音楽家のアントワーヌ(フランスにピアニストの恋人がいる)の物語である。

 

 原題の《UN + UNE》は《男と女》の原題《UN HOMME ET UNE FEMME》をよりシンプルにしたものである。ルルーシュお得意の(というか、50年間そればかりを撮っている!)の「ボーイ・ミーツ・ガール」の典型である。

 

 映画は冒頭から、アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)がアントワーヌ(ジャンデュジャルダン)相手に喋りまくる(私だったらちょっと閉口してしまうかな...?)。

 

 音楽は映画《あの愛をふたたび》(1970年作品)で使用された「恋の終わりのコンチェルト」がしばしば流れる。

 

 

 

 映画のクライマックスは夫との間に子供を授かりたいと願うアンナが、聖者アンマに出会う場面である。

 

 ちょっと映画から離れるが、東日本大震災の翌年、聖者アンマが被災者を訪れるという映像がありました。

 

 

 

 さてここまで書いてきて、ふと脳裏に浮かんだ疑問...「恋の終わりのコンチェルト」のメロディと、「聖者アンマ」の登場シーンを除いてしまったら、この映画は何が残るのだろうか...と。

 

 劇中の登場人物には、もう一つ感情移入ができない(それほどの魅力を感じない)。

 

 ラストシーンも「やっぱりね」という感じなのだ。

 

 フランシス・レイのこの作品のために書かれたメロディももう一つ印象に残らない。

 

 ルルーシュ&フランシス・レイというコンビの名前だけで映画館に行く人たち(私もだが...)は、やはり《男と女》の「影」を追い求めてしまうのだろう。

 

 ルルーシュ(79歳)、フランシス・レイ(84歳)の名コンビに敬意を評して、

 

 ⭐️⭐️