オッシュ 前回、十数年かけて、やっと全面的に信頼できる精神科医にたどり着いたって話になっけど、最初にマッシュを連れて行った精神科クリニックは、以前にオッシュがお世話になったところだった。その時は、自分がつなげられるのはそこしかなかったし。
あの時は、このブログでも話が出たけど、内弟子になってた師匠が亡くなってしまって、それで独立して自分でステージ創りを始めたんだよね。その第1回もオッシュは観に行ったけど。
マッシュ うん、それが終わった途端に燃え尽きた。もう次の企画も完全にできていて、さぁ、次だって思ったんだけど、身体が全然、動かない。こころもあたまも空っぽになって。
オッシュ だけど、その時、よく精神科に行く気になったな。
マッシュ うん、「あぁ、ひょっとしてこれがウツなのかな?」って思ったんだ。
オッシュ エッ!? なんで、それがウツなんじゃないかって思えたの?
マッシュ だって、前にオッシュがウツで自宅療養してたじゃない。
自宅療養って言っても、家から離れた街に、ワンルーム借りて、そこで寝てたよね。それで、マッシュが仕事で終電に乗り遅れた時なんかに、泊めてもらってたから。
オッシュ あぁ、そうだったか。
ウツ状態のオッシュという「現物見本」が目の前にあったから、それと照らし合わせて、「自分もウツかも」って思えたわけか。そりゃ、ラッキーだった、言うべきなのかね(苦笑)。
あの頃は、オッシュの最悪な時期だったな。その時のオッシュの診断も、「心因反応-抑鬱性」だった。オッシュのも、完全に過労から来たもんだった。
やっぱり仕事にブレーキがかかって、会社の帰りに駅の近くのクリニックに行ったんだ。そこがマッシュを連れていったところだよ。
でも、マッシュはそこで薬を処方してもらって、また仕事を始めたよなぁ。通院のあとにオッシュと飯喰ったりしてたし。だから、「心因反応」っていう診断も間違いじゃないって思ってた。
マッシュ うん、だけど、躁転しちゃって、今度はものすごく動き回るようになった。
オッシュ あぁ、あの時は大変だった。オッシュのところにバンバン請求書が回って来てな。いろんなものの保証人になってたから。あの頃は、郵便受けを覗くのが怖くなったもの。
だけど、マッシュには全然連絡が取れなくて、お手上げ状態になったけど、ついには自殺未遂を起こして、危ういところで命拾いして、オッシュのところに電話があったんだね。
それで、タクシーでオッシュの仕事場に来させて、ひと晩、寝かせて翌日、そのクリニックにまたタクシーで連れてった。
それで緊急入院となったんだけど、その時の診断で「双極性障害」――いわゆる「躁鬱病」に変ったんだよね。
その診断を聞いた時は、「これは難しいことになったな」と思った。というのは、知り合いに「双極性障害」のひとがいて、かなり長い期間の治療が必要だということを知ってたから。
だけど、その後、3人目か4人目の医師から「ウツ病」に診断が変ったよね。ということから考えると、あの躁状態は、最初の診断で処方した薬をミスったためじゃないか、と。
マッシュ そう、今、考えるとそうとしか思えないね。ウツ状態を持ち上げようとして、持ち上げ過ぎたんだよね。
オッシュ うん、たぶんね。
「双極性障害」って、ウツの時は持ち上げなきゃいけない。だけど持ち上げすぎると、今度は躁になってしまう。だからすぐに抑えなきゃいけない。そうすると、またストンとウツになる。
だから、精神科医としては、猛スピードで走るクルマのアクセルとブレーキを踏み分ける感じで、処方が難しいんだって聞いてた。だから「あぁ、これは容易ならんな」って思ったんだ。
マッシュ でも、それも今、考えればってことで、今頃、あれは処方ミスだったんじゃないかって言っても、どうしようもないんだよね。
オッシュ あぁ、運が悪かった、としか言いようがない。
これからは、素人だって、精神科の病気についても、ちゃんと勉強して、分からないことはきちんと主治医に質問できるようにならなきゃいけないってことだね。それだけは言えるよ。