2011年夏
後輩の見舞いに行った。
見た目にももう、癌の末期患者であることがわかる。
もともとやせてた体がさらに細く、頬はこけていた、しかしそれでも目だけは生気に満ちていた。
ひとことふたこと、会話をかわす。
薬がきいているので、時々ふっと意識が消える。
しゃべる言葉も、よく聞き取れない。
10分程度いた。
帰る時、「じゃ帰るよ」と言った。
すると、奴はハッキリと言った。
「ありがとうございました」
と。
それだけは、しっかりと俺の耳に、いや心に届いた。
翌日朝
社長から電話。
早朝、逝ってしまったと…。
俺らを待ってたのか…?
不思議と涙は出なかった。実感がわかないだけだろうと、その時は思った。
それより、「間に合った」という意識のほうが強かった。
もし昨日行けなければ、最期まで会えなかったわけだから。
余命二週間と言われてたはずが、たった二日で…。
命ってなんだ?
こんなはかないもの…。
震災で知り合いいっぱい亡くしてるのに、このうえまだ俺から奪うか!神よ!