文部科学省が2014年10月16日発表した13年度問題行動調査で、小学生が起こした暴力行為が前年度より2600件増の10896件で、過去最多となりました。いじめの低年齢化が進んでいると言われていますが、目に見える形で表れてきたように感じます。
私は、これは小1プロブレムが解消できていないからだと考えています。小1プロブレムとは、小学校一年生が起こす問題行動のことで、実際には
集団行動がとれない
授業中に座っていられない
先生の話を聞かない
などと学校生活になじめない状態が続くことです。東京学芸大が2007年に実施した調査では、全国の2割の地域で確認されています。2010年度の東京都教育委員会の調査によれば、こうした「不適応状況の発生」は、4月がもっとも多い71.8パーセント、11月地点でも56.7パーセントの学校が「(状況は)現在おさまっていない」と回答しています。要は、自制心のない子供が増えており、それを適切に指導しきれていない状況が「小学生の暴力」につながっていると考えています。
自制心を育むには-「叱り方」の工夫
それでは、自制心を育むには、家庭でどのような点を配慮したらよいでしょうか?それは「適切に叱る」ということです。子供の叱り方に関しては、興味ある研究があります。ニューヨーク大学医学部小児神経科のカレン・M・ホプキンス教授がとなえた説では、親の叱り方によって子供の脳の発達が大きな影響を受けるといいます。
3歳までは、あまり行き過ぎた叱り方やひっきりなしに叱ると無感情な子供になることがあるのですが、3歳以降、あまり叱らないでいると逆に悪い影響が生じるというのです。正しい叱り方をしていると、それが適度のストレスになり、前頭葉が鍛えられ健全な脳に育つということです。
「上手に叱る」ことと
叱られた体験が少ない子供は、思春期に入って「3F行動」を起こします。
☆フリーズ(freeze)・・・自分の殻に閉じこもる

☆フライト(flight)・・・人との接触を避ける

☆ファイト(fight)・・・家庭内暴力、逆ギレ

子供の年齢に応じて、正しく叱ることが「3F行動」を起こさないようにし、子供の「自制心」を育んでいくのです。
正しく叱るときの注意点は3点です。
1、「失敗したら体罰を加える」という結果主義で行くと、子供であっても反発します。あらかじめ「してよいこと」「してはいけないこと」を繰り返し、丁寧に教えておきましょう。
2、親が自分自身に対して向けるべき怒りを、子供に向けていることがよくあるので注意しましょう。
3、親もできないことを子供に押し付けないことです。親が本を読む習慣がないのに、子供に本を読めといっても説得力がありません。
子育ては「上手に褒めること」「上手に叱ること」のバランスが大切なのではないでしょうか。
子育てはクリエイティブ
「親が自分自身に対して向けるべき怒りを子供に向けていないか」を点検する際は、次の点をふりかえってみてください。
1、 母親が自分が犠牲になった部分の代償を子供に要求していないでしょうか。職業的な能力が高い女性が、育児においても成果を出そうとすると子供に無理を強いることになります。
2、 夫に対する不平・不満を子供にぶつけていないでしょうか。
3、 子供に対する偏見がないでしょうか。親子でも相性があります。母親は自分に似ているタイプが好きで、自分に似ていないタイプの子は苦手だという傾向があります。
子供への接し方は、親子それぞれなので一律に「これが正しい」というものはないと思います。ただ、自分と子供との関係を客観的に「善意ある第三者の目」で見てみることで改善していく余地はあると思います。工夫次第でどんな親子関係もつくれます。どうか、子育てをクリエイティブに楽しみながら、子供に大切な「自制心」を育てていただければと思います。