結婚してから、自身の境遇が耐え難く思うときは、「昔の田舎の大家族農家のお嫁さんよりはマシだから我慢しよう」とか、「戦地から命からがら引き揚げ、年金がない両親を養っていると思おう」と自分に言い聞かせてきた。

でも、「事件」後、親しい友人に我が家の実態を話し、そんなふうにこれまで我慢してきたんだというと、友人はこう言った。

「でも、周りがほとんどそうだった時代とは違うよ。そうでない人がたくさんいるのに、そんなふうに思えないよ」

ああ、そうだよね、と。

友人も夫の両親と二世帯住宅で苦労している。義父は認知症。

短い時間でお互いの境遇を話したあと、お互いが、「あなたの家よりマシかもね」と、苦笑い。

尊敬に値するほど理想的な嫁である友人は、こうも言った。「でも、わたしだったら、縁切っちゃうな」

我が家の話をすると、周囲の友人たちは大方、離婚するか義父母と縁を切ると言う。

黙っていられたころと、毎日やりきれなさを感じ、友人に話しては自己嫌悪に襲われる今とでは、どちらがいいんだろう。