カナレットを観に行きました。



息子①(つのすけ)が
「イタリアは、そこらじゅうにカナレットある。カナレットだらけや。
なかなか日本に来ないから、見ておいでよ」
というので、行ってきました。
風景画の巨匠と言われます。
そうなったのには、理由があります。
それを、追いかける展覧会でした。
スコットランド国立美術館と英国コレクションを中心にした 60点の展覧会です。




イタリア、ベネチア生まれ(1697年)のカナレット。
作品もベネチアが中心なのに、英国からの出品というのが、カナレット成功の理由です。

18世紀イギリスの貴族の子弟は、教育の仕上げとして数年をかけて周遊旅行をしました。
グランドツアーです。
あのターナーもグランドツアーに参加しました。
行き先は、フランスやイタリアのローマやベネチアが、人気でした。
グランドツアーの思い出や記録や記念品に、カナレットの絵画は、最適の絵画でした。
カナレットには、イギリスのパトロンがついていました。
この展覧では、カナレット以前からカナレット以降の風景画の変遷を鑑賞することができます。
私は、言ったり来たりして、作品を比較しながら、鑑賞しました。


風景画は、遠近法を用い精密に描いています。
カナレットの絵は、遠近法を使い、整然としているようですが
よーーくみると、たまに、遠近法が崩れています。
しかし、崩れていないように見えます。
そこが、上手い!
リアルな現実の風景を写したのではなく
良いところを、組み合わせています。
又、ある部分を縮小したり、詰め込んだり、光の方向を非現実にしたりして
劇的な風景画を創り上げています。


単なる写実ではないのに、写実的に見せているのです。
実は、宮崎駿さんの映画ポスターを見た時も、遠近法の消失点が複数あって
絵に動きがでていました。
基本的に遠近法の消失点は、1つか2つです。
それ以上は、ありえません。
しかし、わざと遠近法を操作すると、絵画は2次元から3次元4次元へとメタモルフォーゼします。
技術が必要です。

カナレットは、見たままを描いたのではないけれど、見たときの感動を伝える気がしました。
空間把握能力は、先天的な要素が大きいと思っています(私の個人の感想です、あしからず)
セザンヌは、あらら?というところがありますが、だからこそ、セザンヌの対象の捉え方が新境地を掘り当てました。
必ずしも、遠近法や空間把握が作品の質を決めるのではない。
カナレットの素描を見ると,生まれ持っての空間把握能力と理論としての遠近法を駆使していると感じました。
遠近法が狂っていると お尻がムズムズしてきます。
カナレットの作品にも、ムズムズがありましたが、作品として成功しているのが
心憎いほどの才能です。

絵葉書のような風景画
というなら、ユトリロ。
ユトリロは、本当に絵葉書を写したこともあったらしい。
カナレットのヴェネチアを観ていると
ヴェネチアを母と歩いた旅を思い出しました。

新宿駅西口は、思い出が多い。
新宿駅の工事は、それを、封じこめる。
新宿で、ひとりランチして
すたこらさっさと
帰宅しました!とさ!
