セミナーやコンサルティングの際、よくご支援先から成功事例を聞かせてほしいと言われます。
また、企業家の勉強会などに参加しても、各自の成功事例を発表するというケースが多いようです。
先日のある調査会社の調べでも小売店がメーカーから得たい情報でもっとも多いのは、
「(売り方など)他店での成功事例」であるという結果が出ています。
その他のメーカーからの情報は「一部しか見ていない」「まったく見ていない」とのことだそうです。
他の成功事例を聞いてわが社・わが店でも早速やってみたい気持ちはよくわかります。
でも注意したいのは、成功事例の多くは、
以前やってうまくいったことであり、
自社とは違うほかの会社がやってうまくいったこと
なのです。
あくまでもそれは、過去の情報であり、
組織も文化も、業種も、業態も、規模も、売上高も違う会社の事例であるということです。
経営のヒントにする、
厳しい環境の中、頑張った企業の話を聞いて明るい気持ちになる、
あるいは、成功事例の数や内容を持ってして、コンサルタントを選ぶときの目安にする、
などというのならぜんぜん問題ありませんが、
と思うのが、
「さっそく同じことを明日わが社でもやってみます」
という経営者がいることです。
他の会社のマネをしても必ず失敗します。
なぜなら、そこに魂がこもっていないからです。
前回、ダイエーのコウズが失敗して、アメリカのコストコが成功しているということを書きました。
ホールセールクラブというビジネスモデルをオリジナルとして育てたのがコストコでありウォルマートであるのに対し、その成功事例をそっくり日本に持ち込み、マネをして失敗したのがコウズです。
成功事例を持ち帰って、ただそっくりそのまま真似るのではなく、
自社の現状や取り巻く環境に適応させ、
加工し、
魂を込め、
自社のオリジナルへと進化させることが成功事例の有効活用と言えます。