牛丼チェーンの価格競争と新商品開発競争が止まらず、消耗戦の様相を呈しています。
いずれのチェーンとも価格を下げても新商品を次々打ち出しても客数が伸び悩んでいるようです。
今年度、国内の牛丼店舗数は5000店を超える見通しとのこと。
確かに、店舗数は飽和状態に近づきつつあると言えます。
また、同業どうしの競争のみならず、コンビニエンスストアなどとの競争もあり、客数が増える要素が見当たりません。
価格で頑張っても、商品で頑張ってもダメなら、ではどうすればよいのか?
私は、その頑張り方がちょっと違うのではないのだろうか? と思うのです。
大手チェーンは、牛丼並盛り280円で横並びとなっていますが、この価格設定の根拠は一体何なのでしょう?
焼き鳥つくね丼にカレー、豚丼、ほんとうに魅力ある新商品なのでしょうか?
そこに顧客視点があるのでしょうか?
なぜ280円なのか?
ライバルが280円だから、という理由もありますが、しかし、それは、あくまでも企業側の理屈です。
顧客の視点から見ると、今まで380円だったのがいきなり100円値下げされると、ふつうの感覚だとひょっとすると食材の質を落としたのではないか?と疑いたくもなるのではないでしょうか?
特に、最近はファミリー層をターゲットと言っているのならなおさらです。
親からすると、安いのは結構だが、子供にはいいものを食べさせたい、というのが本心ではないでしょうか。
また、焼き鳥丼440円と言われても、店頭のタペストリーやメニューの写真だけでは味が判断できかねます。
まして、牛丼店の専門外の焼き鳥丼やカレーが、専門の牛丼よりも価格が高いとなると、初めて注文するのに、ちょっと勇気がいります。
「今日はひとつ、焼き鳥丼でも・・・」
と決心して店に入っても、結局、注文するのはいつもの牛丼だったりするのです。
言いたいことは、もっと、店や、企業の頑張りが消費者に伝わる努力をしなければ、せっかくの頑張りがムダになるのではないか、ということです。
なぜ、280円に設定したのか、
どうして280円でも以前と変わらない味を実現できるのか、
牛丼店でありながら、我が店の焼き鳥丼やカレーはどれほどおいしいのか、その理由は・・・
など、お客様の知りたいことは山ほどあります。
それを伝えることができないと、いつまでたっても消耗戦は終わることはないでしょう。
いつまでたっても不毛なマスターベーションの繰り返しを続ければ、いつかその消耗戦から脱落者が出てくるに違いないと思います。
