ある化粧品店の店主のお話です。
最近、体調を崩され、しばらく店に出るのを控えていたそうです。
その間、信頼のおける1人の従業員に店の切り盛りをまかせていました。
その従業員は年齢は30歳代と若いのですが、お得意さまも多く、5年以上にわたり、まさしくNo2として店を支えてきた最も信頼できる従業員でした。
なんとか体調が回復した店主は何日かぶりに出勤しました。
そして、あるお客さまから、こんなことを聞きました。
「このお店、閉店時間が早くなったの?」
おかしいと思いながら、さらに違うお客さまにも聞いてみると、同じような言葉が・・
そうです、店主のいない間、店をまかされていた従業員は勝手に店を早く閉めていたのです。
さらに、よく聞いてみると、定休日でもないのに勝手に休業にしたりしていたともわかりました。
また、先入れ先出しが原則の商品であるにもかかわらず、倉庫の前の方に置いてある出しやすい、日付の新しいものから店に並べ、古い日付のものは奥の方に大量に残されたままだったのです。
それより、なにより店主がショックだったのは、信頼していた従業員に裏切られたということです。
でも、最も恐れるべきことは、店主のいない間に、長年培ってきたその店の「信頼」や「ブランド」といった目に見えない「資産」が一瞬にして失われてしまうということです。
再び、その店主は体調を崩されてしまいました。
名将、真田幸村はこう言っています。
「世の中で、家来ほど油断のできぬものはいない」
「人を見たら、泥棒と思え」ということではなく、
部下を信頼した上で、上の者はそれ以上に油断やスキを見せてはならないという意味です。
「管理」という言葉は堅苦しいですが、やはり従業員の管理は避けて通ることができません。
どんな小さな店でも、人を雇う以上、そこには人、組織をマネジメントする力が求められます。
「親しき仲にも礼儀あり」、馴れ合いはいけないということです。
