約四年前、新潟から東京に戻る新幹線の中で読んだのが島田洋七の『文句あっか!』だった。
これが最初に読んだ一冊。
これはがばいばあちゃんの話ではないのだけれど、とびっきり面白かった。
世間の常識から考えれば、正に常識はずれの世界を堪能できる。
ちっさい事でくよくよ悩んでしまう自分が、バカらしく思える。
笑って泣いて鼻がグジュグジュになりながら、東京に着いた時には気分がスッキリ。爽快だった。
それから他のがばいばあちゃんシリーズも読み始めるようになった。
洋七さんの文章は、とても読みやすい。
まったく格好をつけてないのが、すごい。
そしてぐいぐい引っ張られていく。
がばいばあちゃんの話もいいけれど、他の話もとてもいいのだ。
小学生の作文のように書いていて、こんなに感動させる本はそうないだろう。
最初に映画になってから、テレビドラマにもなったのに、どうしても自分で撮りたくなって、今公開中の映画 では監督もしている。
最初の映画やTV版ではどこが不満だったのだろう、実際の洋七さんが見たばあちゃんの世界はどうだったのか、それを確認したくてまた映画館に入った。
いかにも感動させるだろうというシーンは、一本目の映画よりもあっさり撮っているし、その後すぐに笑わせるばあちゃんの実像を描きたかったのだろう。
子役たちの演技もさっぱりしている。
僕はばあちゃんの家と川の関係とか、時代の匂いや風景を感じたかったので、それを見られただけでも満足だった。
ばあちゃんの雰囲気も、香山美子さんが一番近かったのだろう。そのばあちゃんに会えて嬉しかった。
プロが撮った映画というのではなく、これまた小学生の作文のような映画ではなかったかと思う。
こういう映画があってもいい。
最後までしみじみしている。せつなくて、ちょっと悲しいのだけれど、なんだか嬉しい。
「ばあちゃん、ありがとう」と言葉にしたくなる。
小学中学時代の八年間、家にテレビラジオ新聞もなく、ばあちゃんと二人っきりで話ばかりして育った少年の中には、今もばあちゃんが生きている。
そしてそのばあちゃんの姿を僕たちに伝えてくれた、
そしてまた自分の中にもある、自分のばあちゃんの姿を想い出させてくれた洋七さんに、
ありがとうございました。