雨の彼方の隙間の奥に胸の痛みなどというのは表現ではなく、本当に、本当に、生身の心臓部への痛みとして表面化することがあるのだから、だからこそ、心などという目に見えないものに、目に見えないからこその思いやりを持たなくては、失ってはいけないものを失う。「どうか元気で!」と言葉を発しても、夜に降る雨はすべてを包み、かき消してくれる。かき消して、しまう。