大人の周期性嘔吐症<下> | 歌津八番クリニックのブログ

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宮城県南三陸町歌津にある看板のない小さな診療所です。

<上>の続き。


治療はグルコース、予防はフルクトース。その量は確定できていない。そういうことで大人の自家中毒症あり得る。頻回の嘔吐による吐血を子供はアセトン血性嘔吐症、大人はマロリーワイス症候群という風に分類されるが、どちらも原因は同じだと考える。子供の頃、吐き癖があった人は気をつけた方が良い。

追記1:例の女性患者だが、眠前のフルクトースで夜中には嘔吐しなくなったが、朝食前に嘔吐するという。朝のケトーシスをどう予防すべきか。グリコーゲンにお願いするしかない。そのためには少なくとも100g以上の糖質を日中から夜半までに刻んで摂取しグリコーゲンを蓄積する必要がある。絶対的エネルギー摂取がすくないと糖新生の機能が減弱し、翌朝空腹時にケトーシスモードから抜け出せないと推測する。

抗がん剤使用中の極度の食欲不振もケトーシスの原因になり嘔吐しないまでも極端な食思不振に陥る可能性がある。癌患者の死因は癌それ自体が原因というより栄養失調であると藤田保健衛生大の東口高志教授が6月10日発売の週刊ポスト誌で解説していた。ちなみにSGLT2阻害剤使用中もケトン体は増加するが糖新生とバランスしているためケトーシスかつ低血糖にはなることはまずない。つまり抗DM薬では、ある程度の血糖値が維持されるので慢性のケトーシスによる周期性嘔吐症を生じることはないと考える。