歌津八番クリニックのブログ

歌津八番クリニックのブログ

宮城県南三陸町歌津にある看板のない小さな診療所です。

Amebaでブログを始めよう!
<上>の続き。

特に医者の場合、その知識に関して薬剤師やレントゲン技師、ナースなど全く違う。医学的知識量に大きな差がある。また医者同志でも専門性が高くなっているから話が合わない。お互い理解できないことが、しばしばある。特に専門性が高くなればなるほど、専門知識が必要となるため、他科の話は理解が難しくなる。それが現実であろう。

田舎の開業医は、今の若いドクターと異なり専門性の高いエキスパートではない。だから退屈な何でも診る医者と思われている。また患者と長く付き合う為には、その患者だけでなく患者の家族や、その家の経済事情まで知らなくてはならない。せっかく就職した一人息子の会社が倒産し無職になったとか、孫が薬剤師になって地方の公立病院で働きだしたとか。先日の台風で牡蠣棚が落ちたけど保険で助かった等々。専門性は高くないが生涯に渡って患者と付き合うことになる。(これが結構大変だ)

・・・・・

ちなみに肺水腫とは心不全のため肺静脈圧が上昇し、肺間質からだけでなく実質(肺胞)に水が溢出する病態だ。それを伝えるためFAXしたのだが、残念な結末であった。だが、すでに2年前に「いつ死んでも不思議ではない」と言われていたし、かつ90歳と高齢である。

その方がエアコンのない古い家に、脳梗塞を患って後遺症のある息子と二人で、ひっそりと暮らしていたことを考えると。まさに寿命が来たと言っても過言ではない。間質性肺炎と診断した主治医は立派に看取ったと思う。詳細は解らないがまさに寿命であったと考える。

・・・・・

私も開業して20年を超えた、当初から診ている方々の多くは80歳を超えた。そろそろ私も、20年前に初めて会った時の患者さんの年齢に近づいた。もちろん何人かは亡くなられ、施設に入所された方々も少なくない。ただ80歳を過ぎても畑仕事や、養殖の手伝いをされている方々が沢山おられることに驚くのみだ。

専門性が高くなりすぎて、逆にテレビCMで売っている健康食品を購入したり、変な健康番組を鵜呑みにするような無知な医者にならぬようお願いしたい。君は酒飲みの肝臓障害にウコンやヘパリーゼがマジに効くと信じているのか?だったら、もっと勉強しなさい。その前に、大酒のみになった理由を聞きなさい。それが良い医者の始まりになると私は考える。


先日、在宅で診ていた90歳の女性が亡くなった。夜中に嘔吐し救急車で某町の病院に運ばれたが3日後に死亡した。入院した翌朝その担当医から間質性肺炎の診断だとのFAXが届いた。私は、すぐに拡張型心筋症の患者だとFAXで返信した。その患者は東日本震災後、心不全が悪化して以来、当クリニックで訪問診療を行っていた患者だ。

毎年、夏に状態が悪化する。彼女は左心不全(肺水腫)の治療のためフロセミド40mg~80mgを時期や状態により加減しながら治療していた。26年7月には状態が悪化し某市立病院循環器内科に入院したのだが、その際の心エコー検査で拡張型心筋症と診断され、かつエコー上EF40%以下(60%以上で正常)、sever hypokinesis(ほとんど動いていない) と診断され、いつ突然死をしてもおかしくないと、その紹介状にあった。

つまり、その患者は肺水腫の悪化を予防するために毎日、脱水症になるぐらいの利尿剤を服用していたのだ。真夏になると脱水症が悪化する。暑さのため食欲も減少するし、脱水の為、熱中症を生じた可能性もある。その際、運ばれた病院で間質性肺炎と診断が下され、その治療を受けた。間質性肺炎劇症型と肺胞性肺水腫はCTや胸部レントゲン写真で良く似た像になる。鑑別診断は簡単だ、心エコーで左房径を測ればすぐ判るはずだ。

また、その病院のCTの解析度や技師の実力など不明だが。まだ私が勤務医の頃、は胸部CTの撮影時には息止めがあった。特に呼吸器疾患や心臓疾患では低酸素のため頻呼吸になる。まして恐怖心のある老人には、息止めができたかも不明である。多分、病院では技師は技師、医者は医者で分業していると思う。それが現状であろう。

昔、旧帝大系医学部出身の呼吸器外科医がストレッチャーで運ばれた仰臥位の胸部写真を診て肺炎と診断したのに驚いた経験がある。多分、肺炎はない。立位深呼吸で写真を撮れなかったにすぎないと想像した。脳卒中の急性期の患者が深呼吸できますか?だって医者は医者の仕事しかしていないし、技師は技師の仕事しかしていない。

<下>に続く。


東日本大震災から5年が過ぎた。この頃「優しさ」という言葉を考えることが、しばしばある。よく似た言葉に「親切」というのがあるが親切は優しくなくても行える。たとえばハンバーガー屋やコンビニの店員さんは親切だ。なぜなら親切に接するよう指導されている。マニュアルがあって親切に振る舞うように指導されている。別に優しい訳ではない。

優しさとは「相手の立場や気持ちを考え想像し行う行動」だと思う。親切でなくても良い。人に対する時には、ぶっきらぼうでも、コワモテでも、美人や美男子でなくても優しさがあれば良い。どんな親切もありがたいが見かけだけの親切は人を勘違いさせる。

震災の後、見かけだけの親切が横行した。それは悪いことではないし、決して責めてはいけない。ただ見かけだけの親切に翻弄された人たちも少なくない。その結果、心の復興が遅れた人たちも存在する。

私は診察の際、いつも患者さんの置かれた立場や心情を考慮するように努めている。一日中、一人で過ごしているのか?収入は大丈夫か?精神的に大丈夫か?などなど。100%そう出来ているか不明だが患者に対して可能な限り優しく振る舞いたいと考えている。ただ医療関係者の中には見かけ親切だが優しさのない者がいるように思う。

それを責める訳ではないが優しさのない親切を勘違いする人たちもいる。優しさとは心から湧き上がる感情であり、愛情だ。多分、それは心から痛い目をあったことがある人にしか判らない。決してコンビニのマニュアルでは通用しない。優しさとは、そういうものだ。

・・・・・

もし恋人から別れを告げられたら潔く身を引く。それが優しさだ。いつまでも食らいつくのは優しいとは言えない。一方的な愛情は愛情ではない。愛と恋とは良く似ている。ただ愛とは相手を許すことであり、恋とは相手に許しを請うことである。一方的な愛情は恋愛とは違う。

愛と恋は似て異なる。親切と優しさも、似て異なる。そのようなことを理解するのに58年を要した。そう考えられるようになったのは、あの大震災での経験だと思う。ただ大方の人たちは、その区別はつかない。だから愛と恋を勘違いする。親切と優しさを勘違いする。きっと優しさとは愛だ。

医者は患者に愛情をもって接しなければならない。見た目だけの親切は容易だが多くの医療者に欠如するもの、それは愛だ。マニュアルや見てくれではないと、私は考える。


最近、知り合いのドクターが亡くなった。孤独死である。彼は旧帝大の農学部を卒業し、社会人になってから一念発起し医学部に入り直した苦労人だ。その彼が故郷の南三陸町に診療所を開業して10数年になろうか。その後、自宅も建てた。彼の親は農業を営んでおり、それほど裕福ではなかったと聞いていたことがあるから、全て自力でやった。

彼は東日本大震災の大津波で自分が建てた診療所も自宅も失った。私は被災地で津波被害を免れた接骨院を借り医業をすぐに開始できたが、彼は何件かの病院を転々としていたようだ。そして彼はもう一度開業を模索したが細君の反対でとん挫した。どこかの医療機関で仕事をしていたと思うが、ある日訃報が届いた。

いろいろな理由で家族と別居生活を送っていたという。彼は新たに買った自宅で連絡がつかぬと見に行った家族が、その遺体を発見したらしい。彼は大酒飲みだった。というか震災後に大酒飲みになったと思う。休みの日は朝から酒を飲むと本人が話していた。朝から酔った声で電話がかかってきたことも何度かあった。

震災前にも知り合いの単身赴任中のドクターが階段から転落死したことがあった。彼も酒飲みで朝、アパートの階段下で倒れているところを新聞配達員に発見されたという。その彼も妻子を都会に残し一人で暮らしていた。

医者は、というか田舎の医者は孤独であることが少なくない。なぜなら子供の進学のため家族は都会にいることが多々あるからだ。田舎の診療所のスタッフは家族で、その土地に住んでいるから孤独はありえない。医者だけが孤独なのだ。

私も都会に家族を残し、実家である南三陸町で開業していたが、実家には母親がおり孤独ではなかった。しかし震災後、母親は仙台の妹の家、仮設住宅そして今一人災害公設アパートにいる。私は診療所の2階に一人暮らすようになった(今も)。まさに孤独の襲来である。孤独な人間の友人は酒だ。酒を飲むと少なくとも明るくなる。だから酒を止められない。

震災後、生活が一変した人たちが多い。震災をきっかけに子供たちや家族が年寄りを残して出て行った家もある。震災後に、またどこかで誰かが孤独になった。そんな彼らに酒を止めろなんて言えない。私は彼らが肝硬変にならないよう飲み方を指導するしかない。

私は彼の死を受けて、昼から酒を飲むことを止めた。まだ子供たちに金がかかる。孤独死の可能性はゼロではないが。


先日、当クリニックの中年スタッフが婦人科で脅かしを受けた。聞けば最終生理から3か月経って出血があり1週間ほど続いたため婦人科を受診したという。その際「なんで早く来なかったのか。子宮体癌の可能性が高い」とその婦人科医に言われたそうだ。そりゃビビるよね。クリニックのスタッフとはいえ医学には素人だもの。

超音波検査、細胞診、血液検査を受け不安の中、帰宅したという。翌日、血液検査の中身を見せてもらったがコレステロールなど要はどうでもイイ検査ばかりでいわゆる腫瘍マーカーなどの肝腎な項目は含まれていなかった。もし子宮体癌を疑うなら初っ端から腫瘍マーカーを調べるべきでしょ。そこで当クリニックで腫瘍マーカーを調べてみた。結果、異常なし。最終的には細胞診も異常なし。

多分、その婦人科医は典型的な脅かし医者だ。初診で超音波、細胞診、血液・尿検査を行い1週間後に血液検査の結果、2週間後に細胞診の結果を説明する。ひょっとすると年に2回は検診を受けるよう言われたかもしれない。

ところで住民健診に胃がん検診がある。バリウムを飲まされる検査だ。この頃、慢性胃炎が良く引っかかるようになった。そしてピロリ菌検査を受けろと通達がくる。その検査とは胃カメラと血液検査なのだが、もし陽性ならば除菌をしなさいと。ピロリ菌がいると癌になりやすいということだ。胃がん検診異常なしでも内視鏡からピロリ菌検査さらに除菌まで行くの?

またその内視鏡で除菌が済んだけど小さなポリープを見つけ「今は小さなポリープだけどこれを放っておくと癌になる」からと年に2回づつ定期的に内視鏡を受けろという医者もいる。そしてそれら検査を真面目に受けている人たちがいる。でも、これらって医者のビジネスモデルなのでは?

逆に胸部レントゲン写真は結核検診が目的だが、この検査では癌が写らないこともある。だから胸部レントゲンで肺癌が見落とされても仕方がない。検診レベルでの肺癌検診は喀痰検査だ。これを良く理解しないと訴訟になることもある。

医者は「心配ないです。大丈夫です」というのが本来のあり方だと思う。脅かして何度も検査を受けさせるようでは、いかがなものか。まして「あそこにかかっていると死にますよ」などという医者はヤバいと思う。そんなこともあるのでセカンドオピニオンは必要だ。ただ、どんなに医学が進歩しても人間は必ず死にます。これは間違いない。


過日、南三陸町のホテルでで「ほやサミット」が開かれた。ホヤとは三陸沿岸の名物の海産品だ。主に生で食するのだが特有の風味があり地元でも苦手な人が少なくない。蒸したり、塩辛にしたり、燻製にしたり色々と手を加えているがウニやアワビに比べれば万人が美味いと称賛する食品ではない。

ところが韓国人は、このホヤを珍重するというか大好きなのだ。ホヤというのは鮮度が全てなのだが、韓国人は生のホヤを南三陸から生きたまま輸入し、お店でしかも生けで提供している。つまり南三陸で朝獲れたホヤを生かして韓国に輸出し、生きたものをさばいて提供している。

今回のサミットを見て思ったのだが、あれではダメだ。ホヤは生しかも鮮度が命。妙な加工品で国内での販路を広げようと考えているが間違いだ。韓国でどんな風に食べられているのか韓国人に聞いてみれば済むことだ。

実は10年ほど前に仙台の韓国人が経営している韓国食材店の韓国人の店員に聞いてみた。
生のホヤに市販のキムチを合わせて、胡麻油とコカコーラを隠し味に合わせるというではないか。単にホヤをキムチに混ぜただけではダメで胡麻油でホヤとキムチを馴染ませて最後にコーラで甘みを加減するという。

しかも店員さんいわく日本製キムチはダメだと。ということで桃屋のキムチの素や国産キムチで試してみたが、ずばり合わない。桃屋のキムチの素は旨味が濃すぎる、国産キムチは水っぽいし粘液多糖類感(ネバネバ)が出る。本当の発酵ではない混ぜ合わせモノ感が強い。

ホヤについても、やはり鮮度。朝獲れたモノを昼にさばいて食う。せいぜい夕食までしか鮮度は持たない。翌日にはホヤの嫌な味が出る。当地方では大体さばいたその日に食べる。食べなければ即凍結する。そうすることで鮮度が維持できる。ただし解凍を完全に待つと賞味が落ちるので冷たいホヤを即、韓国製キムチに混ぜるべし。

真の「ほやキムチ」とは、鮮度の高いホヤをキムチの辛味・塩味・酸味・旨味と胡麻油の香味とコーラの甘味で合えて完成する。考えてみれば答えは容易だ。彼らは生きたままホヤを韓国に運んで、われわれ以上に鮮度の高いホヤを食べているのだ。ホヤの生産者は加工業者に任せず生で売る販路を開拓せよ。では、まずは叙々苑仙台店から提供してもらおう。

コーラはコークだ。コカ・コーラは進駐軍が日韓にもたらした飲み物なのだからだ。キムチは韓国製でスミダ。


<上>の続き。


このような食生活を送っているDM患者に対しては低用量のDPP-4阻害剤やSGLT-2阻害剤をベースに処方し、さらに朝にメトホルミン0~500mg、昼に500~1000mg、夕方にメトホルモンなし。というような処方になろう。すなわち血糖値が高くなる時間帯に厚く、それほど血糖値が上がらない時間帯には薄く短時間作用型の抗DM薬を用いるのがベターだと考える。つまり十分な問診を行ない、患者自身の食生活の内容を知り、それに合わせて治療を行う。

もっとも夜に肴で飲酒する場合、酒量が少なく短時間で飲酒を切り上げられるなら朝食・昼食で摂取したブドウ糖によりグリコーゲンが蓄積されており低血糖モードに至ることはないと思うが、もし江部式超糖質制限やライザップ的な糖質制限をおこないながら飲酒習慣があれば低血糖モードに陥る可能性がある。低血糖モードの証明は困難だが、γグロブリン低値やリンパ球低値さらにはIgG低値があれば低血糖モードに曝されている可能性がある。

現時点ではダンピング症候群やステロイド糖尿病、アルコール多飲のDM患者の低血糖モードの解消にはフルクトースの投与が有効な印象だが、服用のタイミングならびに、その量が確定できていない。話は異なるが、夜中の下肢の筋けいれんにフルクトース5gにNaCl 0.8gとKCl 0.2gを混ぜて水100~200mlに溶き眠前に飲用させると未明の筋けいれんの予防になる。


DPP-4阻害剤やSGLT-2阻害剤の特徴は長時間作用型でHba1cを下げる。これはHba1cを指標にDM治療を行う場合には極めて有用である。ただ患者個人の食生活は多種多様であり低血糖を生じる可能性も十分あり得る。たとえば朝食抜きの患者。昼食はコーヒー1杯だけの患者、あるいは夕食は酒の肴とお酒だけの患者など。一般的には1日3食摂り、間食、飲酒については可能な限り慎むのがDM食の基本だ。

また朝食は白飯と納豆とみそ汁だが、昼はコンビニ弁当やラーメン、夜はご飯を抜いて刺身や煮物を肴に焼酎2合で済ます、というような食生活を送っている患者がいたとする。この場合の糖質摂取は、朝が40g、昼が70g、夜は10g以下になると想像できる。その場合夜間から未明にかけて低血糖モードを呈している可能性が否定できない。

この場合、仮にHba1cが6.5%だとしても午前の血糖値は200g/dl以下、午後は200g/dl超、夕方から夜は100g/dl前後と推測される。もちろんインスリン基礎分泌量で血糖値は変わってくると思うが、DPP-4阻害剤やSGLT-2阻害剤だと全体的に血糖値を下げることになりHba1cは低下するが、食後の過血糖を下げるのは必ずしも得意ではない。


<下>に続く。


<上>の続き。


治療はグルコース、予防はフルクトース。その量は確定できていない。そういうことで大人の自家中毒症あり得る。頻回の嘔吐による吐血を子供はアセトン血性嘔吐症、大人はマロリーワイス症候群という風に分類されるが、どちらも原因は同じだと考える。子供の頃、吐き癖があった人は気をつけた方が良い。

追記1:例の女性患者だが、眠前のフルクトースで夜中には嘔吐しなくなったが、朝食前に嘔吐するという。朝のケトーシスをどう予防すべきか。グリコーゲンにお願いするしかない。そのためには少なくとも100g以上の糖質を日中から夜半までに刻んで摂取しグリコーゲンを蓄積する必要がある。絶対的エネルギー摂取がすくないと糖新生の機能が減弱し、翌朝空腹時にケトーシスモードから抜け出せないと推測する。

抗がん剤使用中の極度の食欲不振もケトーシスの原因になり嘔吐しないまでも極端な食思不振に陥る可能性がある。癌患者の死因は癌それ自体が原因というより栄養失調であると藤田保健衛生大の東口高志教授が6月10日発売の週刊ポスト誌で解説していた。ちなみにSGLT2阻害剤使用中もケトン体は増加するが糖新生とバランスしているためケトーシスかつ低血糖にはなることはまずない。つまり抗DM薬では、ある程度の血糖値が維持されるので慢性のケトーシスによる周期性嘔吐症を生じることはないと考える。


さらに先日も大人の自家中毒症的な症例に遭遇した。婦人科系の癌で治療中の60歳台の女性だが、空腹になると嘔吐するようになったという。癌の進行は腫瘍マーカーを見る限り進行はしていない。だが嘔吐するという。その方は糖尿病初期でもあったので食事制限を行ない、また偶然にも鬱的な症状もあって、みるみる痩せた。データ的に低アルブミン、低コリンエステラーゼ血症を呈するまで痩せた。

その方のエネルギー代謝はブドウ糖不足→体脂肪消費→遊離脂肪酸→ケトン体、すなわちケトーシスの状態だ。その後、鬱状態から改善したものの糖尿病に対して食事療法を行っていたため、空腹時に容易にケトーシスを生じるようになったと推測した。さらにいうなら極端な体重減少は糖尿病でも非糖尿病でも糖新生ではブドウ糖の合成が賄いきれずエネルギー代謝はケトン体によって行われる。

ケトーシスによる嘔吐症は熟睡中には起こりにくい。その理由はⅡ型糖尿病による高インスリン血症が原因の低血糖からのケトーシスは、糖新生により朝には回復しているからであろう。睡眠中のエネルギー消費は少ないので糖新生で対抗し得る。

その方の婦人科の主治医は癌による、なんらかの通過障害であろうと判断したようだが私はケトーシスと考えている。人間に限らず動物には毒と感じたら吐くという習性があるようだ。透析患者が水を欲しがる時、必ず冷たい水を欲しがる。冷たい水には細菌が少なく安全だというご先祖様からのDNAであろう。極端なケトーシスも毒と感じるDNAを持ったとしても不思議ではない。


<下>に続く。