4月になり、新しいお仕事をいろいろと頂いております。

その一つが、大阪の舞洲にあるリゾートホテルの家具修理。

ホテルで使用している椅子のシートを張替えたり、壊れた家具を修理したり。

うたたね製の家具ではなく、国内メーカーのものですが

木製品の修理や補修については、自社、他社、国産、輸入品問わずに

お引き受けしています。

 

ホテルのお部屋を営業しながらのリペア作業なので、数脚ずつ引き取って

きれいに修理して納品し、また数脚引き取り、、という感じで

この春は舞洲に通っています。

 

舞洲には世界的に有名な建築物があります。

大阪にお住まいの皆様はご存じかと思いますが

この派手な建物、近くでご覧になったことありますか?

下から見ると迫力がありますね。てっぺんにドドンっと澪標のマーク。

 

 

海沿いの埋め立て地である舞洲は、その昔大阪にオリンピックを招致する

ということで、スポーツ施設等がいろいろと整備された人工島です。

巨額の税金を投入して招致活動が行われましたが、敢え無く撃沈してましたよね。。

そして、その時期に建てられた大きなごみ処理施設が

写真の舞洲工場と舞洲スラッジセンター。

ど派手な外観で、USJのアトラクションと間違う人が多い

というのもうなずけます。

 

 

この建物のデザインをしたのはフンデルトヴァッサーという

オーストリア出身の芸術家です。

 

 

我が家に鎮座している画集。

 

購入したのはもう25年くらい前でしょうか。

友人とこの本を見ながら夜な夜なフンデルトヴァッサーの絵や建築の話をしながら

飲み明かしたな、、という懐かしい思い出があります。。

 

環境活動家としても知られるフンデルトヴァッサーですが、

建築デザインにも熱心に取り組んでいました。日本ではこの舞洲の施設と、

扇町にある「キッズプラザ」という児童施設を残しています。

 

 

この塔はスラッジセンター側にあります。こちらは汚水処理施設です。

外壁を支える柱には色とりどりの焼き物、タイルが使われて

すべて形が異なるデザインになっています。

まっすぐ定規で引いたような人工的な直線を嫌ったフンデルトヴァッサー。

床や壁も手で描いたような有機的な曲線、曲面、波打った形になっていて

当時は相当な手間暇、コストを掛けて作ったんじゃないかなと思います。

 

スラッジセンターは入り口のロビーが解放されていて、

予約しなくても入ることができます。

 

 

 

今回初めて中に入ってみたのですが、内装にもタイルが使われていたり、

いろいろ興味深かったです。デザインの意図や、建設当時の図面など

建物に関する説明パネルなどが少しだけですが、展示されています。

 

 

 

 

舞洲という場所は、通常なかなか訪れる機会はないかもしれませんが、

マニアにはお勧めのスポット。建設当初ほど話題になることもなく

今ではその外観とは裏腹に周囲はひっそりとしています。

建物については、税金の無駄遣い、とか 負の遺産 などと

揶揄されることも多いようですが、これだけの建築物なので、

観光資源としても活用できるかもしれませんし

こういうデザインの建築は、もうなかなか作ることができないと思いますので、

世界的に見ても、充分価値があるのではないでしょうか。

 

 

 

ところで、

大阪は、2025年に万博が開かれますが、

この舞洲の隣にある夢洲が会場となります。

今、土地の整備や建設工事が進められているようで、周辺の道路は、

資材を運ぶ大きなトラックがたくさん走り回っています。

 

 

夢洲はこれから未来に向けて、新しい建築物や施設が生まれていく場所。

ですが、それらも作られて数年たてば、過去の物になっていくんですよね。

人工島は、自然による歴史がなくて、人の手で新しく作られていくものなので、

その時に主導した人たちの考えで出来上がって行きます。

新しくできる夢洲は、万博の後はIRの計画があるということで、

どんな風景に変わっていくんでしょうね。

そんなことを考えながら見ていると

埋め立て地の人工島ってなんだか面白いなと思います。