展覧会の会期が延期となり

3月20日(金)~4月23日(木) に変更されました。

しかしながら、まだ新型コロナウィルスの感染拡大の影響がありますので、

今後も予定変更の可能性があります。

 

展覧会へお越しの際は、会場となるKIITOの

ホームページなどをご確認いただければと思います。

http://kiito.jp/schedule/exhibition/articles/39796/

 

本来なら、本日から展覧会は始まる予定でした。

昨日、KIITOに出来上がっている作品の一部を持って行って

設営中の会場の様子を見てきました。

 

この空間は、、

 

、かっこいい、、、これはやばい、、、

 

。。思わず言葉がこぼれて出るような感じ。

 

想像以上にすごい空間が出来上がっていました。

今回のイベントは、ただ椅子を見る、というだけではなく

体感すること が すごく楽しめる展覧会になっていると思います。

 

チームみんなで、本当にわくわくしながら作り上げていますので、

このイベントはきっとたくさんの方に楽しんでいただけるに違いない。

いろいろ大変な状況ではありますが、私たちは前向きに

作業を進めていきたいと思います。

 

 

ということで、うたたねでは今、展示する作品の

最後の微調整などを行っているところです。

 

今回製作した椅子の中で一番最後まで悩みに悩んだのは

狂言師の椅子 です。

 

皆さん、葛桶(かずらおけ)ってご存じですか?

能や狂言の舞台で、小道具として使われるもの。

 

 

もともとは、葛粉など食料を保存するのに使用する蓋つきの容器。

能や狂言ではいろなものに見立てて使用しています。

腰掛にしたり、酒樽や茶壷に見立てたり、蓋を盃のように使うことも。

演目によっては上に乗ることもあり、これ一つでいろいろなものを

表現する小道具です。

 

今回の企画では 能楽師の 山口耕道さんにご協力いただき

狂言師の椅子 ということで、この葛桶をお題として頂きました。

 

山口さんのお話を伺ったときには、まさにイラストのような

黒の漆塗りの立派な葛桶を見せていただき、その使い方

座り方などを教えていただきました。

 

 

昔の道具は、本当によくできていますね。まず驚いたのはその軽さ。

木製の曲木で作られていて、中が空洞になっているとはいえ、

すごく軽いんです。それから3段重ねになっていて、高さが変えられます。

真田紐で縛って持ち歩いたり、背負ったりすることもできます。

もちろん座っても上に乗っても丈夫でしっかりとしていて、

道具としてよくできています。そして見た目も美しい。

 

この葛桶をヒントに、どんな椅子を作ればいいのか。

 

まず初めに、3つの機能は押さえておくことに決めました。

・蓋つきの容器として中にモノが入れられること。

・高さが変えられる構造になっていること。

・人が上に乗って立ち上がっても安定感があるもの。

 

これらを踏まえて、新しい現代の暮らしに 椅子として

使ってもらえるデザインにするため、試行錯誤していきました。

 

今までにない、新しい葛桶とはなにか???あれこれ考えを巡らせて。

素材は木でなくてもいいかもしれない、

形は円筒でなくてもいいのかも知れない、、

色は黒以外でもいいかもしれない、、、

もしかして、なにか他のモノを葛桶に見立ててもいいかもしれない、、、

(例えば一斗缶とか、紙管みたいな、、)

果ては、概念のみでモノが無くてもいいかもしれない、、、、、、、(空気椅子!、、、)

と、議論しているうちに、とんでもない方向まで話が飛んでいくほど、

答えが出ないまま、延々と考える日々。

 

しかし、答えは出さなければいけませんので

とりあえず手を動かし始めて、失敗を繰り返し、

(パーツの残骸がいろいろありましたが、写真には残っておらず、、)

たどり着いたのが12角形の椅子です。

 

 

和洋、どちらのテイストにも合わせられるモダンなデザインにするには

円筒より、少しシャープな多角形がいいと考えました。

4角形や6角形など、他の形も候補に挙がりましたが、

元の葛桶が3本脚になっていましたので、3の倍数がいいだろうということ、

9角では大味すぎて15角では細かすぎるということで

12という数がすとんとハマりました。

 

三段重ねにするためには、凸凹がうまくかみ合わなければなりません。

そのために、内側に木のリングのようなわっぱをつけることにしました。

 

曲木を作るための型。

雄型、雌型の間に薄い木を挟み込んで曲げているところです。

これをわっぱにしてパーツとして使っています。

 

 

ここまで作り上げるのも、実は何度もやり直したりして、

結構大変でした。

 

塗装前の状態で、重ねるとこんな感じ。

座面はいろいろな樹種を組み合わせています。

 

座って安定感を確かめているところ。

 

しっかりとしていて、強度は問題ありません。

 

脚のパーツです。3か所にメインの脚。

サブの脚も3つ付いていますので、安定感があります。

 

他にもこんなパーツが付きます。

真田紐を通すリングをつけるためのもの。

チェリー材を削り出して作りました。

 

ここから塗装仕上げをしていきました。柿渋を使った

着色塗装。落ち着いた茶色に染まります。

木目が表れるとまたぐっと表情が出てきました。

仕上がりは、かなり渋くてかっこいい感じになっています。

 

この新しい葛桶は、椅子としても面白いものになったのではないかと思います。

さて、ご覧になった方はどんな風に感じるでしょう?

お披露目するのが楽しみでもあり、ドキドキでもあり。。

 

生みの苦しみを味わい、やっと完成したあたらしい葛桶です。

ぜひ見に来てくださいね。

 

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http://kiito.jp/schedule/exhibition/articles/39796/

日 時 ※会期が変更されました
2020/3/20(金)~4/23(日) 11:00~19:00※月曜休館
場 所
         デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
〒651-0082 兵庫県神戸市中央区小野浜町 1-4 デザイン・クリエイティブセンター神戸
ギャラリーB
制 作
山極博史、杉島郁子(うたたね)
ディレクション
吉田貴紀・栗原里菜(BYTHREE)、田中裕一(かたちラボ)
主 催
デザイン・クリエイティブセンター神戸、うたたね