まだまだ石川県の被災地のライフラインや,
ライフラインが完備される見通しが
現地に伝わらない状況が続いているようです
IT化により,多くの情報を手に入れられるようになったとは言え,
本当に必要かつ適切な正しい情報は,
信頼できるソース(発信源)から得るとなると
そのソースを見極める意味も含め,時間がかかるのが現実なのかもしれません
(たとえ時間がかかったとしても,信頼できる情報に従っていただきたいと願っています)
後尾を確保する
わたしが東日本大震災の際に女川町に訪れたのは,
震災から2か月が経過した5月でした
2か月が経過していたため,最低限のライフラインは確保されていましたが
被災者の多くが,引き続き学校の体育館などで避難されておられました
被災地の限られた貴重な資源を大事にし続けるうえでも,
わたし達の宿泊先として指定された宿は,被災地から車で2時間ほど離れた場所でした
(毎日,被災地まで車で移動していました)
今振り返ると,心理士としてできることはほとんどなく,
いかに体力・気力を維持し,被災地の方々に迷惑をかけないかが,
支援者として求められている条件だったように思います
支援するつもりが,要支援者にならないよう努力する
という,いかに自己の能力に無知な人間の【支援したい】が,
身勝手かを痛感した瞬間でもありました
幸運なことに,わたしの前任者はベテラン心理士で
被災地支援は2回目とのことでした
その方から,【申し送り】と称し,助言されたことは
初日・2日目は後方で状況確認をしなさい
3日目から,自分のできることをリーダーに伝えましょう
息切れしないこと,バーンアウトしないこと,
それが,あなたに求められていることです
でした
(わたしが派遣された際は,6~7人の医療従事者が1つのチームとなり
被災地で支援していました)
当時のわたしは,派遣期間が5日間だったこともあり
前任者の助言に,正直,拍子抜けしたのですが
【先輩が言うことは絶対】という思いから
1日目は,リーダー(看護師さん)の希望を寄り添う形で
病院内で支援者支援(現地で支援している人を支援する立ち位置)を実施しました
1日目のチーム内での引継ぎの時だったと思います
わたしは,リーダーに
わたしにできることは,少ないと思います
普段は,神経心理学を専門としています
大人の発達障害や脳卒中後の認知機能障害に関しては
ある程度の心理教育・家族支援ができます
重い物の運搬などの筋力は持ち合わせていませんが
7時間程度の持久力・集中力はあります
わたしを現場に連れて行ってもらえませんか
と,伝えたところ...リーダーは
ありがとう
正直,心理士を現場で出して良いかを悩んでいた
心理士以前にあなたに何ができるかが分からなかったのと,
あなたが現場に耐えられるかが心配だったから
あなたなら,無理な時は無理と言ってくれそうだと分かったから
明日から被災地に一緒に行ってほしい
ただし,常にわたしの後ろにいてほしい
と,言ってくださったというわけです
だいぶ長くなりました![]()
![]()
さらに新年からする話ではなかったです
申し訳ありません
わたしが,伝えたかったことは
【支援】は,わたし達が思っている以上に長きに渡るということです
長きに渡るからこそ,セルフケアが求められます
まず,ケアすべき相手は自分です
自分の身体が緊張している瞬間があるのであれば
それは良くも悪くも【ストレッサー】が生じているサインです
自分が自分のストレッサーに気づき,それらを対処できるようになると
他者と良好な関係が築けるようになるとわたしは思っています
わたしが派遣された際のリーダー看護師さんも,
わたしが私自身をケアできるかどうかの見極めができず
仲間としてどう関わって良いかが分からなかったと思います
そういった意味でも,わたしが自己のできることと限界を言語化し,
伝えられたことは相手にとって有用だったように思います
何よりも,前任者の
後尾を確保するといった名言は
今も胸に刻んでいます
前のめりでなかったからこそ,後尾を確保できていたからこそ
わたしはチームの一員としてどうあることが望ましいかを
知ることができました
息切れしない
まずはセルフケアをする
大変な時こそ,大事にしたいキーワードかもしれません
