閉店SALEがそんなに長いわけがない -7ページ目

閉店SALEがそんなに長いわけがない

タイトルとは無関係の極私的読書感想文

あの衝撃から1年が経って、世間はすっかり忘れてしまったかもしれない。

けれど身も心も捧げた熱心なフリーク達は忘れていないし、たとえレジェンドになってしまったとしても、その脳裏には激闘の記憶が残っている。かくいうボクもその一人だ。

死してなお本やDVDが発売され続けるほどに影響力があったとはプロレスファンのボクでもわからなかった。どういう訳だか三沢さんを扱ったものは今でも発売されている。

それどころか映画化(!)の話も進んでいるという。正直に言うとそれはどうかと思ったものだが、制作者の人は純粋な気持ちで取り組んでいるらしい。

元スポーツ新聞プロレス番記者の女性が書いた本書は、その映画の原案ということになる。偉大なるレスラーにして恩義に厚い経営者だった三沢のプライベートサイド、家庭での日々を綴っている。

読んでいてなるほど、と思う。三沢の奥さんも存分にミサワっぽい。三沢が外で「三沢光晴」であるのを支えたのは、家で「三沢光晴」の役割を演じた奥さんがいてこそなのだろう。

愛妻からみた素顔の三沢光晴―LAST BUMP/丸井 乙生


杉山のライフワークに「兵士シリーズ」という作品群がある。かつて鬼子呼ばわりされ、戦後一貫して日陰者の存在だった自衛隊に密着し、軍隊と呼ばない軍隊、自衛隊をあますところなく解剖したシリーズだ。

本作はシリーズの掉尾を飾るものとして、彼が自衛隊ものを書く契機となった三島由紀夫のあの「事件」と、そこに至る過程の中で三島が出逢った数多くの自衛隊員の証言から、兵士になりたくともなれなかった三島由紀夫の想いを明らかにしようとしている。

同じ釜の飯を食った仲というか、三島が体験入隊したことを通じて交流を深めていった自衛隊員たちは、三島が結果的に自衛隊に弓引くことになったとしても、尊敬や思慕の念を40年以上経た今でも持ち続けている。

ヒロイズムの結果などと嘲笑する向きもある三島の自決について、彼らなりの解釈で三島の想いは受け止められているように思う。だからといって、現実社会や自衛隊の存在がどう変わったのかと言われると、微動だにしてはいないのであるが、ともあれ、自衛官たちのより深い部分にある何かにほんの少しでも触れたのは間違いないのだろう。それが40年の時を超えた現代にどう影響されて行くのか。出発点から未来へ、杉山は自分なりの言葉で訴えかけている。

「兵士」になれなかった三島由紀夫 (小学館文庫)/杉山 隆男


映画も絶賛公開中ですが、見てませんので置いといて。

話題作とよばれる作品を話題の真っ最中に読むなどという恐ろしいことはたまにしかしないボクですが、告白は映画を見る前に読んでみたかったので手にしてみました。

意外というか、全く想像していない筋立てだったので驚きました。そしてこのまま映画化はできないだろうな、とも思いました。案の定、物語の展開上でキーになる部分が変えられているようです。

それは、恐らく差別を助長する、とかなんとかムニャムニャ理由があるんでしょう。

まあそれがリアルとも言えます。

物語は二転三転し、それぞれが自分の視点で「真実」を語るわけですが、これが実に薮の中といおうか、スッと入ってくる感じがしません。人の数だけ真実はあるのだと、思わされます。

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)/湊 かなえ