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閉店SALEがそんなに長いわけがない

タイトルとは無関係の極私的読書感想文

石田さんの作品ではやや初期に近い作品でしょうか。最近の薄く引き延ばしたような世界に若干の物足りなさを感じている愛読者にとっては、このボリュームは嬉しいです。

石田作品らしさが全開で、好きな人にはたまりません。おそらくこの作品が書かれた頃は、アキバとネットが若者文化の中心とかなんとか言われていたはずです。

ファンタジーと言ってしまえばそれまでなんですが、ワクワクするファンタジーはいつ読んでも楽しいですね。

ところで本作には映画とテレビドラマとあるそうです。映画は酷評されていますが、なぜだかアキラ(登場人物のコスプレファイター)の印象は山田優が圧倒的に強いですね。あと誰が出てるんだか知りません。

アキハバラ@DEEP (文春文庫)/石田 衣良

あけましておめでとうございます。

読み終わった本の感想をダラダラ書くだけのブログも足掛け4年目に突入いたしました。最近ペースが落ちてきたものの、個人的にはずいぶんと長く続いているなあと感心しています。今年もダラダラペースは崩さずに駄文を書き散らしていきたいと思います。

で。

新年一発目なんで、自分の趣味であるプロレスから2冊ばかり読んでみました。

プロレスの世界には「トンパチ」という言葉があります。型破りなことをするヤツとか、憎めないバカとか、とにかくちょっとイッちゃってる人物を指します。

2005年にこの世を去ったプロレスラー橋本真也はまさに「トンパチ」でした。その橋本のトンパチぶりを残された対談や連載記事、さらには関係者の証言で甦らせたのが『紙の破壊王 ぼくらが愛した橋本真也』と、『紙の破壊王 ぼくらが愛した橋本真也 爆勝証言集』です。

ちょっとここで書くのが憚られるようなエピソード、はっきりいってアウトですよ!でもそれがいかにも橋本らしいというか、日本プロレス史を眺めてても特異な選手であったのは間違いありません。

そんな破壊王に、付き人たちは軽い殺意を覚えつつも(笑)、永遠の修学旅行が終わったような、どこか寂しい余韻を持って振り返っているのが印象的です。

紙の破壊王 ぼくらが愛した橋本真也/『紙のプロレス』特別編集



紙の破壊王 ぼくらが愛した橋本真也 爆勝証言集 (kamipro books)/kamipro編集部

タイトルがとても意味深い。

本当の悪人とは、一体誰なのか。

皆、薄々気づいてはいるのだけれど、それが世間の常識となって当事者に浴びせられる時、心とは違うことを言わせる。本当はわかっているのに。本当はそんなことを言いたい訳じゃないのに。

本書を読むと、無性に誰かに会いたくなる。誰でも良い訳ではなくて、自分のことを見つめてくれる誰かに会いたくなる。

主人公が抱える埋まらない寂しさのような気持ちは誰しも持っているのかもしれない。それを埋めたふりして、あるいはそれを別のことで忘れて毎日暮らしている。

でも本当はその寂しさを埋めたいと思っている。それが誰かに向けられる想いとなるのだろうし、それを拒絶された苦しみが堪え難い怒りとなるのかもしれない。

主人公は港で母に捨てられる。彼の母を求める叫び(作品内にはあまり現れない)がいつまでも耳に響くようで、切ない。

悪人(上) (朝日文庫)/吉田 修一


悪人(下) (朝日文庫)/吉田 修一