このところの投稿を振り返ってみて、SF・ユートピア小説が多いなあと思ってましたが、ボクにとってのユートピア小説の原点と言えば、井上ひさしさんの『吉里吉里人』ということになります。
東北の一寒村が突如日本からの独立を宣言し、高度な医療体制とタックスヘブン制度によって世界からの注目と指示を一挙に集めようとするのだが、、、というのが大まかな物語です。本作は別にディストピアではなく、本気でユートピアを目指そうとした果ての悲劇となります。
『すばらしい新世界』のラストを読んだ時に、なぜだかふと思い出したのが本作でした。特に設定が似ている訳でもないですが(どちらかといえば『1984』の方が似ているかも)、その悲劇性の中に見えるコミカルな展開が、どことなく似た雰囲気を感じるのです。
いまとなれば、文庫で全三巻、合計1500ページにも及ぶ大部の作品、なおかつ複雑な政治やイデオロギーの絡むストーリーを小学生のボクがどのように消化していたのか不明です。ただ、既存のものをひっくり返そうという作者自身の思想的な部分に、当時のボクが無意識に何かしら感じる部分があったのではないかと思うのです。
懐かしいですね、うんうん。
吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)/井上 ひさし


