「…なんか最近いしーちゃん変じゃない?」




最初に そう言い出したのは

相葉ちゃん。




「ふふ、そりゃ人間ですからね。色々あったりするんじゃないですか」



そんな二ノの一言で


まぁそっかーって

すぐに 違う話題になってく。



けど

俺はなんか ……気になる。



いしーちゃんは

別に変じゃない。


ただ、いつも以上に献身的。



なんて言うか…

気遣いの鬼 ってかんじ。




「大野さん、これ予備バッテリーです。充電してありますよ」

「…あんがと」

「そうだ、松本さんから水預かってます。移動車に載せときましたから帰りに必要分取っていってください」

「ん、わかった…」



いや、いつも

こんくらい 気は 回る。



けど なんだ…


なんか

言葉が優しいって言うか


いつもこんないちいち言ってこない…よーな?



これって違いがあるんじゃねぇけど

なぁんか違ぇの。



でも

それがなんで とか

なんなのか とか


俺はわかんねぇもん。



そしたら

わかんないまま 知らないふりを決め込むだけ。





ただ さ。

にんまり のあいつ。



なぁんか 気に入らねぇ。

俺はわかんないのにさっ




「なぁカズナリ」

「へっ?」

「俺らさ ずっと一緒にいるよな」

「そー…ね、なに突然」

「悪いこと考えてねぇな?」

「へっ?」

「鼻唄…」

「…っ!」


昔から

不意を突かれると 赤くなる耳。


ゲームを持ってる手が

少し下がる。




「うるさかった?」

「いや、全然」



ちょっとだけ

拗ねたような

バツが悪そうな顔。



ん、よし。

俺が歳上。


んふふ

満足。