シゲさんの運転する船で本島に向かう間

小夏は俺の横を動かなかった。




黙ってるから

俺も黙ってた。



小夏が 沈黙を破ったのは

陸が 見えてきたくらい。





「ねぇ、私って 魅力ないの?」

「…小夏はいー女だよ」

「じゃあなんで触れもしなかったの?」

「……いや、お前はも少し自分を大事にしろな」

「してるよ!私はさとしが好きなの!だからこんなアプローチしたんじゃん!」

「………」

「だれでもいーわけ……ないじゃん」





小夏はさっぱりしててノリも軽い感じが楽。

スタイルもいい…

露出が多い服も まぁ、どっちかっていや

ありがたい。


確か俺、昔はこんな子 好きだった。



いかにせん…小夏は子供にしか見えないから

そういう意識はしたことないけど。




あとは…

もっと大前提。



俺さ




「好きな子いるからなー…」

「……彼女、じゃないよね?」

「……」

「何年も島に入り浸ってたのに…それっぽい人、いなかったよね?」

「………」

「あぁー…ふぅん。忘れられないってやつだ」

「………」

「いーよ、私。代わりでも」

「代わりなんてねぇよ」

「……なにさ」

「んふふ…、小夏は誰かの代わりになる女じゃないでしょ」

「…パパと3つしか変わらないおじさんでも。
私はさとしがいい」

「んー…
シゲさんに仕事蹴られちゃうと、俺もうここに来れねぇんだよな…」

「意地悪…」

「俺はもう隠居する」

「あっそ」

「結構遊んだからなぁ。次は東京帰って少し絵ぇ描くわ」

「また戻ってくる?」

「んふ。あそこ、おれんちよ?画材持って、こっちでも描くかもしれないし…」

「ふぅん…」

「そしたら、またよろしくな」

「どうかな。彼氏できたらさとしの世話なんてしないかも」

「ふは、ひでぇなぁ」




俯く小夏の頭を

ぽんぽんっと 叩いた。




小夏なら

引くて数多だろ。



俺なんか はやく忘れろ…な。




船が着き

シゲさんが笑って言った。




「はー、これでしばらく一安心」

「親子揃って、ひでぇ(笑)」

「ま、おーちゃんがその気ねぇのはわかってたけどな」

「だから好きにさせてたんだろ?」

「バレてたかぁ」



ガハハっと笑うシゲさんと

奥にいる小夏に


手を振って 船を降りた。





さて。

帰るかねぇ…東京。