さて、きょうで6月も終わる。

来週に定期試験を控えた息子の鞄から、

一冊の単行本が落ちた。

 

「IQ84」

 

読書といえばライトノベルばかりの彼の

ありえない選書に、ちょっと吃驚しつつ

正直、戸惑う。

 

・・・どした?意味わかるの?・・・。

 

村上春樹といえば、

「納屋を焼く」を私が最初に読んだのが

思えば高校に入ったばかりだった。

ちょっと、気になる子に借りたので頑張って

読んだ記憶がある。

 

日本の小説とは思えない風景と、

あの独特の言い回しが苦手だった。

 

その後、今の夫(一度の結婚です)が

村上春樹フリークで、仕方なく読んだ。

 

「羊をめぐる冒険」

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」

「ねじまき鳥クロニクル」

この三冊には、はまった。

 

自分が加納マルタとクレタの姉妹のもうひとりに

なったような錯覚までしたほど。(加納デルタ?)

 

そんな村上春樹を読み始めた息子に質問。

 

「何故に、急に、突然に(しつこい)村上春樹?」

 

「・・・読んでるひとがいて面白いっていうから・・」

(何故か怒り口調)

 

同じね、私と同じ。

不純な動機ってやつね。

 

それだとしても、よだれをダラダラ流していた

ちっちゃかった息子が村上春樹を読むというのは

彼に生理が来たようで嬉しい。

 

さてきょうの映画は、

本当に本当に楽しみにしていた

 

 

2016年の作品

「溺れるナイフ」

 

 

 

「ピース オブ ケイク」著者である漫画家・ジョージ朝倉の

同名少女コミックを実写映画化した青春ラブストーリー。

 

東京で雑誌モデルをしていた夏芽(小松菜奈)は、

父親の故郷である田舎町・浮雲町に引っ越す。

想像したいた田舎というものと違う現実にがっかりする夏芽。

そこで、地元一帯を取り仕切る神主一族の跡取り息子コウ(菅田将暉)

と運命的な出会いをする。そして彼の持つ不思議な魅力に惹かれる。

しかし・・・

 

この映画のスチールができたときから、本当に楽しみにしていた。

本当に何年ぶりかで原作コミックまで買い、全巻読む時間がなく

インターネットカフェで積み上げて読み上げた。

 

 

少女漫画にしてはエキセントリックな主人公たち。

この画風に菅田将暉と小松菜奈はフィットしていた。

今の若手で夏芽とコウならこの二人のチョイスで間違いない。

 

が、映画を観終えて・・・物足りなさにガッカリした。

 

二人が惹かれあい、愛し合い、ナイフのように傷つけあうという

激しさがちっとも伝わらない。

観ているものを置いてきぼりにするのだ。

 

 

 

これ、写真集だったら良かったな。

 

かなりストイックな撮影現場だったと聞いた。

女性監督の思い入れが強すぎて、

空回りしたのかもしれない。

 

この二人を揃えただけに残念感は否めない。

 

 

と、偉そうにこんな文章を書いた夜、

私は夢のなかで、この映画の監督をしていた。