促されて…
言われるままに文字を書く。
短冊がぼやけて…
うまく書けない。
ミミズがのたくったような、誓いの短冊。
震える手で…
ペンのキャップを閉じた。
顎に手がかかる。
くい、と、上を向かされる。
「これ…」
「…婚姻届、な?」
そう言われ…
抱き寄せられた。
甘い、深いキス。
唇から…
俺の全てを奪い尽くすような。
…そうだった。
智は俺と違って…
物欲のない人だった。
そんな、仏みたいなこの人の…
全ての執着が俺に向いてるとしたら…
それこそ本望だ。
この人の中に刻まれて、溶け込んで。
一つになれるなら。
俺は…
そのキスとその先にある快楽に、身を委ねた。
「…おしっこ」
不意に尿意で目が覚める。
いつのまにか連れてこられたベッドから身体を起こす。
智はガーガーいびきをかきつつ爆睡中だ。
トイレで太腿についた無数のあざに気づく。
智のやつ、またこんなに…
人の足にキスマークつけやがって…
「かずのここ、すげー好き」
いつもそう言っては吸い付いてくるんだよな…
かなり際どいラインにまでつけられた跡をなぞる。
断片的に、俺が乱れる姿が蘇った。
激しかったな…
昨日…
次々と浮かびあがる自分の痴態を打ち消したくて、慌ててトイレレバーをひいた。
水と一緒に、いやらしい自分も流れていく。
俺はホッとしつつ居間に戻った。
