あれだけあった願い事が、全て笹に飾られて。
エアコンの風を浴びて、微かに揺れている。
「…冷たっ」
なんかを踏んづけて…
咄嗟に足を引っ込めた。
床…
濡れてる…
点々と…
光る水滴が道を作る。
それは浴室まで、続いていた。
智…
ろくに拭きもしないで…
ガラステーブルにもいくつかの水滴。
びっしゃびしゃの髪で、きっと慌ててつけたんだろう…
「ったく…」
「風邪でも引いたらどーすんのさ…」
ぼやきつつ、あの短冊を探す。
「あった…」
一番高いところに2つ。
「健康第一」と一緒に並べられた、青と黄色の短冊。
俺が書いた…
“今日から30年の間に智と入籍します”
そして、もう一つ。
智が書いた…
「…ん?」
“30年後には入籍できますように”
の短冊。
だったはずなのに。
「30年後には」と「できますように」が二重線で消されてて。
一番前には、吹き出しがついていた。
“かずと3年後入籍します”
「…バカじゃないの」
修正だらけの、きったねー短冊。
3年後なんて、近過ぎんだろ。
んなの…
できるわけ…
ねーことも、ねーのかも…
智の力強い、修正だらけの短冊を見てたら。
そんな風に思えんだから。
俺も大概、毒されてるよね…
「…ぶぇっくしょん!!」
とんでもなく水っぽいくしゃみが寝室から聞こえる。
ズズズ…と鼻をすする音。
バカで…
俺を好きすぎる。
んで…
俺が愛してやまない男。
そいつをあっためるために。
そいつの「健康第一」を守るために。
俺は、ベッドに急いで戻った。
*お付き合い頂きありがとうございましたー!
あとがきは明日あげまーす☆
