大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
蓮さん家で
「登場人物紹介」が
上がっております✨✨
ぜひぜひこちらもご覧ください![ラブ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/006.png)
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先にこちらをお読みください♡
本日よりいよいよラスト…![泣くうさぎ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/670.png)
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「再始動編」スタートです!
和也 41
サトの命を奪う書類に押印してしばらく…
僕は以前のように…
心を失った抜け殻のような毎日を送っていた。
フーマはああ言ったが…
本当にサトは、生きているのだろうか。
もしサトの命を、この手で奪ってしまったとしたら…
もう僕は生きていられない。
全てが終わったら、その時は…
前みたいに誰かの力を借りるのではなく、自分で自分の全てを終わらせよう。
そんなことまで考えていた。
フーマ「カズナリ様、今宵は満月にございます」
フーマの言葉がぼんやりと耳を掠めた。
フーマ「…大変月が美しい」
フーマが硝子窓に近づいたことを視線の端に感じる。
フーマ「今宵夜半の…」
「丑三頃が特に」
「特に、美しいと聞いております」
和「…」
フーマ「カズナリ様」
「丑三頃、朱雀門側の月を…」
「どうか、ご覧ください」
和「…朱雀門?」
フーマの言葉が、ふと引っかかった。
宮殿にある4つの門の中でも、全く人の出入りがなく、いわば開かずの門である朱雀門。
生まれた時からずっとここにいる僕ですら…
まともに開いているのを見たことがないほどに、その門はいつも固く閉ざされている。
その手前には鬱蒼と茂る森があり…
森の中には、罪を犯した王族の者のみが収監される、特別な牢屋がある。
そこは昔から…
収監された者たちの怨念が澱んでいる…と、まことしやかに囁かれていて。
少しでもこの城の中を知る者は…
決して近づくことはなかった。
和「朱雀門、と言ったな?」
フーマ「…はい、左様にございます」
和「なぜ朱雀門なのだ?」
「丑三つのような夜半であれば、松明も最小限になり」
「どの門でも月は綺麗にみえるであろう」
「にも関わらず…」
「なぜ、朱雀門…」
そこまで言ってハッとする。
まさか…
まさか、その時間に…?
…きっとそうだ。
他の3つの門とは比べ物にならないほどに人気のない、開かずの門。
そこを、そんな時間に…
僕に見ろ、ということは…
それしか考えられない…!!
和「…いや、もうよい」
「わかった」
「…丑三つ、だな?」
僕は、そう言って…
フーマに視線を送った。
多分僕の予測は当たっているのだろう。
フーマは大きく、頷いた。
確かに月は綺麗だった。
キン…と冷えた、澄んだ空気が、更に月を美しく魅せる。
でも今の僕に…
月を愛でる余裕は、なくて。
サトの…
愛しい人の影。
生きている鼓動。
それだけを感じたくて、目を凝らした。
森を一望できる監視塔の中で…
ただ一人息を潜めている僕。
いつもなら必ず監視役が常駐しているはずの塔。
しかしそこには誰もいない。
きっとフーマが…
サトのために、そして僕のために。
人払いをしたのだろう。
僕はチラリと懐中時計に目をやった。
そろそろ丑三つ…
ぎゅっと拳を握る。
たのむ…
頼むから、生きていて…
柄にもなく、神に祈る。
これから先に待ち受ける、僕の幸運全てを…
何なら僕の命すら、捧げてもいい。
お願い。
お願いだから…
無事でいて…
真っ暗闇の古びた塔で…
真っ暗な森を見つめる。
不気味に揺れる木々。
その葉は不穏にざわめく。
でも不思議と怖くはなかった。
その時…
ふわっと、何かが、森から生まれ出た。
黒い…
いや。
蒼い、影。
その蒼い影は…
森からまるで浮き上がるかのように…
音もなく静かに、現れ…
朱雀門へと移動していく。
開かずの門が、わずかに開く。
その影は、そこをすり抜けようとしたが…
不意に、動きを止めた。
じっと…
宮殿の方を見据える瞳が…
キラっと月に反射して光った。
暗闇なのに、僕の目にははっきりと見える。
まるで…
スポットライトが当たるみたいに…
和「サ、ト…」
生きている。
生きてそこに、サトがいる。
その姿に…
目も心も。
僕の全てが奪われる。
瞬きもせず、その姿を目に焼き付ける。
すると、キラッとまた何かが光った。
和「あ、れ…」
櫛。
僕の、櫛。
月の光が櫛に集まり…
まるで星のように、輝いてみえる。
僕のその櫛に…
サトが口付けするのが見えた。
和「…なんだよ…」
思わず呟く。
和「なんなんだよ…」
文句と一緒に涙も溢れた。
和「人の櫛、勝手に持ってってさ…」
「なに、大事そうに、してんだよ…」
僕の悪態は…
古びた塔に、溶けていった。
*次回は本日18時
蓮さん家(智サイド)
です!