大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
先にこちらをお読みください♡
和也 9
僕の言葉に…
「はぁ?連れて行く?」と言った…
サトと名乗る男の、眉間の皺を見つめる。
均等に刻まれた、美しい皺は…
男の困惑を如実に表していた。
…何故そんな顔をする?
今更何を戸惑うことがあるというのか。
依頼を受けたから、アンタはここにいるんだろ?
ならやることは一つだ。
僕はその皺目掛けて…
和「うん…それが仕事だろ?」
淡々とそう告げた。
近づいてきたサト。
見上げる僕。
僕達は見つめ合った。
この一瞬。
そのほんの一瞬ですらもどかしい。
早く。
一刻も早く…
僕を、苦しみの淵へ突き落とせ。
そして…
誰も手の届かないところに、連れて行け…
僕の思いが通じたのか…
サトの大きな手が、僕の手首をとらえた。
ぐい、と引っ張りあげられる。
されるがまま…
僕はベッドに放り投げられた。
バネの入ったベッドに…
なすすべなくバウンドする身体。
それを止めるかのように、サトは…
僕の上に馬乗りになった。
俺を見下げる目。
それはなんというか…
冷たく熱い。
そのドライアイスみたいな瞳に…
僕の中の何かが、ザワッと音を立てた。
その音の正体がわからない。
多分これは…
思いを遂げられることへの高揚感なのだろう。
それしか説明がつかない。
僕はゆっくりと瞬きをしながら…
サトの動向と自身の中のざわつきを、他人事のように見守った。
ゆっくり伸びてきた手は…
僕の首に落ちる。
す…っと撫でられる首筋。
細く美しい指は…
僕の首のどこに収まるか居場所を探すかのように…
何度も何度も僕の首を往復する。
絞殺、か…?
どこかの痴情の絡れみたいな…
三文小説に出てきそうな、チープな殺害方法。
そんなやり方で…
俺の命を奪うというのか…??
ブラウスのボタンに移ったサトシの手を、力強く握る。
それ以上の強さを視線に乗せ…
冷たくサトを見た。
智「…なんだ」
サトの声に僕は…
和「…首を絞めるなんて」
「ありきたりなやり方でなく」
「もっと酷く、連れてけよ」
そう、吐き捨てた。
*次回は本日18時
蓮さん家(智サイド)
です!